変形機構で一番苦労したのは、センサーの取り扱い
── Windows XPの時代からあるコンバーチブル型タブレットでも、左右にディスプレーを反転させれば、Standに近いスタイルで使えました。しかし、Tentのモードは二軸ヒンジだからできたまったく新しいスタイルと言えそうです。
レノボ 「これはセンサーに力を入れた成果ですね。Yogaのセンサーのために、私もその下にいるエンジニアも、8ヵ月間、それこそ土日も休まずにデバッグ作業を進めました。開発の時点では、Windows 8自体にもまだまだバグがある状態だったので、実際に動くものを作るには大変な苦労が必要でした」
ハードがユーザーを理解し、最適な機能を返す
── なるほど。どこに開発の難しさがあったんでしょうか?
レノボ 「センサーを載せるだけなら、基本的に普通のパッドを作るときと変わりません。いまこのセンサーを製品化できるメーカーは実質2社しかいなく選択肢は限られていますし、液晶パネル側の設計も基本的には市場にあるパッド型のデバイスと同じです。
ただし、Yogaの場合は、LCDの角度が変化して、どのモードでユーザーが使っているかを検知しないといけません。LCDだけでなく、キーボード側にあるGセンサーと組み合わせて、BIOSがどのモードかを検知し、OSに教えて上げる仕組みです。そのためにセンサーを追加する必要がありました。
そして、その情報を利用してユーザーが使いやすいように動作させる。このあたりを細かくやった点が他社と差別化できる要素だと思います」
── 具体的には何を意図して、使われている状態を知るのですか?
レノボ 「例えばNotebookのモードで使う際、ソフトウェアキーボードが出たら邪魔ですよね。それを出さないようにするとか。Tentモードではソフトウェアが出る代わりに、ハードウェアキーを無効化するとか。LCDの角度を見て、モードを判別するのが、技術的にはやりやすいです。LCD側のセンサーは1ヵ所ではなく、上にもあれば基板にも置いています。
機能自体はどれもWindows 8が持っているものですが、何を出して何を出さないのかを間接的に指示していく作業が必要になります。ハードウェアがセンサーを通じてユーザーがどのモードを利用しているかを把握し、BIOS経由でOSに教えるんですね」
── 一番苦労したのはどこでしょう?
センサーのキャリブレーションをやるのと、ソフトウェアで最適なものを選ぶ。ここが一番苦労した部分となります。センサーを始めとした部品は線と線をつなぐ作業というか、決まっているものです。それをどう応用するかが力の見せ所ですね」