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遅すぎる日本のスマホサイトの原因を探る (1/4)

2013年01月08日 11時00分更新

文●竹洞 陽一郎/Keynote Systems

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 デジタル機器の利用動向で知られるコムスコアの調査によると、2011年12月時点の日本における携帯電話に占めるスマートフォンの割合は16.6%でしたが、2012年6月には23.5%になり、半年で約7ポイントも増加しました。「まだ4人に1人の割合じゃないか」と思う方もおられるでしょう。

 しかし、有名な「キャズム理論」によれば、普及率がイノベーターとアーリーアダプターを合わせて16%を超えると、一般大衆が技術を受け入れます。2012年12月時点の普及率はまだわかりませんが、すでに半分を超えていてもおかしくありません。スマートフォン未対応の企業サイトは、「時代遅れ」といっても過言ではないのです。

日本のスマートフォンサイトの問題点

 すでにスマートフォン対応を済ませた日本の企業サイトは「マーケットに素早く対応して流石だ!是非、お手本として見習おう」といえるでしょうか? 先行してスマートフォンに対応したアメリカ企業のサイトと、日本のスマートフォンサイトの現状をパフォーマンス(表示速度)の観点から比べてみましょう。

 サイトのパフォーマンスが売り上げに直結するスマートフォンのECサイトを比較のために取り上げます。以下は、日本のEC売上トップ20サイト(月刊ネット販売 2011年10月号、通販新聞社調べ)のうち、スマートフォンサイトのないデルとQVCを除く18社分のスマートフォンサイトの表示速度のグラフ(2012年11月18日〜12月15日の4週間分)です。上のグラフがトップページの表示速度(秒数)、下のグラフが稼働率(%)を表しています。

s1-01.png

スマートフォン対応ECサイト トップページの表示速度(秒数)

s1-02.png

スマートフォン対応ECサイト トップページの稼働率(%)

 計測条件は以下のとおりです。

  • 1時間に1回の間隔で計測
  • 3G回線は、NTTドコモを使用*
  • 3Gの電波強度は、インジケーターで5本中3本以上が立つ環境
  • 携帯機種はiPhone4(iOS5.0.1)のシミュレーター
  • すべて同じ環境で計測しているが、計測時間は若干ズレが生じる

*Keynote Systemsのパフォーマンス計測サービスを利用して計測。ソフトバンクの3G回線でも計測できるが、話をシンプルにするため掲載していない


 以下の表は、日本のEC売上トップ20のスマートフォンサイトの表示秒数と稼働率(平均値)をNTTドコモ3G回線を使って測定した結果です。

サイト名表示秒数稼働率
Amazon5.783100%
フェリシモ7.041100%
イトーヨーカドー8.423100%
Sonyオンラインショップ10.631100%
ヨドバシカメラ13.08599.85%
ECカレント14.597100%
ジョーシン16.083100%
ジャパネット17.65599.85%
楽天19.3199.85%
ユニクロ22.98299.39%
A-Price24.154100%
ZOZO Town24.24899.54%
セシール24.37798.79%
ニッセン26.24299.55%
ベルメゾン35.21498.48%
DHC46.63198.18%
ディノス52.85595.45%
PCボンバー77.21499.53%

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