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ThinkPadの父・内藤在正氏に聞く、“これまでのThinkPad”と“これからの20年” 最終回

ThinkPadはなぜ日本で作られたのか(後編)

2012年12月24日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部、写真・構成●小林 久

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ThinkPadでも、今後は「タッチが標準」になる?

遠藤 「レノボの製品では、ThinkPadではなく『IdeaPad Yoga』関連記事)がいち早くタッチに対応しました。

IdeaPad YogaのTentスタイル

 Windows 8によって、ノートに向かって前のめりに使うスタイルだけではなく、いすにそっくり返った状態でタッチ操作しながら、メールを見たり、Chatterとか社内SNSを使うといった世界も出てきた。こういう仕事のスタイルが出てきたというメッセージだと思うんですよ。

 その中でThinkPadはどういう答えを出すんだろうかという点には興味があります」

内藤 「タッチはパッドでもノートでもこれから出てくるでしょう。今までのOSではタッチを使わなくてもキーボードで操作ができた。

 しかしWindows 8はキーボードではできないことがタッチでできるようになった。タッチで操作を代用できたではなく、タッチがゆえのメリットがこれから出てくるはずです。

 一度パッドのよさを味わったら、ノートでも絶対画面に手が伸びるようになるでしょう。だからThinkPadにもタッチは必要なんですが、いま障害になっているのは重量が増えてしまうことと価格です。

 業界だけでなくわれわれも努力して、歩留まりを上げ、速く薄くあるいは安くしていかないといけない。ノートであろうがなかろうが、タッチは必ずあるんだという世界がくるでしょう。タッチとはパッドのためのものであって、それとは別にノートブックのコンピューティングがあるんだという図式は成り立たない」

YAMATOという単語が、無形の何かを象徴している

遠藤 「いろいろお話を聞いてきましたが、ひとこと言っておきたいのは、『ブランド』というのは言い換えると『約束』という意味ですよね。だから約束さえ守られていれば、方法は違ってもいいってことです。

 セブンローの話もそうですが、それには探りながら走っていくことも大事かもしれない。取材では製品そのものはもちろんだけれども、使う人について多くのコメントをされていましたよね。結局は、接している相手が約束を守る人かどうかが大切なんです。

 ThinkPadにはそれを一番期待したいと思っています。変わらざるを得ないことはあるでしょう。実際、20年の間で最初の弁当箱とはずいぶん違う製品になっている。これからのThinkPadも変わっていくはずだから、約束は大事です。大和研究所には、ぜひその約束を守って欲しい。いや移転したから、大和じゃなくて横浜かな……」

内藤 「僕らは横浜事業所のことを大和研究所って言い続けています。電話に出るときも『This is Yamato.』って言う。横浜も悪くはないとは思っていますが、顧客や協力会社からも『名称は変えないでほしい』という要望をたくさんいただいたんです」

遠藤 「大和という名前そのものが、無形の何かを象徴しているということなんでしょうね」

(了)

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