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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第10回

海外への引っ越しで気づいた、電子書籍/コンテンツのデジタル化

2012年12月20日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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電子書籍からウェブ、メールまで
汎用でこなせるiPad mini1台で済ませることに

 筆者は結局、新しいKindleは買わないことにしました。もちろん様々なデバイスを試して最良のものを選びたいという思いもある一方で、引っ越しでたくさんのものを捨てた経験から「ものを増やしたくない」という恐怖もあります。だって「段ボールに入らない」という理由で、興味深いガジェットをガラクタとして捨てなければならない経験を、もうしたくないじゃないですか。

 そこでiPad miniを手に入れましたが、これにKindleアプリを入れて、電子書籍を楽しむということに落ち着きました。もちろんKindle PaperwhiteはiPadのRetinaディスプレイ以上に文字を読みやすいディスプレイで、RetinaですらないiPad miniと画質で比較することは無駄です。

 しかし、iPad miniには汎用端末という強さがあります。iPad miniだけで書籍だけでなく、メールやウェブ、RSSのニュースなど、筆者が読むもののほとんどすべてを読むことができ、必要であればEvernoteなどでメモや文章を残すこともできます。iPadを使ってきた筆者としては、半分近くにまで軽くなったiPad miniは、「電子書籍を含む携行デバイス」の地位を固めたように思います。

 Kindle Fire HDは、同じロジック、つまり電子書籍だけでは少し物足りないというユーザーにフィットするでしょう。普段のスマートフォンやパソコンを含むデバイスの使い方で、選び方は変わるのではないか、と思います。

Kindleは海外で日本の書籍を読む、貴重なチャンスに

 サンフランシスコにはジャパンタウンがあり、紀伊國屋書店で日本の書籍や雑誌などを購入することができます。もちろん価格は高いのですが、紙の本を手に入れることは可能なのです。しかし脳裏によぎるのは、また移動するとしたらという問題でした。そこで、音楽と同じように、できるだけデジタルで本を読みたいと思っているところです。

 Kindleで日本語の書籍が読めるようになって、早速日本の書籍を購入しようとしました。ところがアカウントの問題がでてきます。これまでAmazon.comのアカウントでKindleの書籍を購入していましたが、日本のストアがオープンして、自分のKindleをAmazon.co.jpとAmazon.com、どちらで利用するか、という問題が出てきました。

iPad miniにインストールしたKindleアプリ。クラウド保存なので、必要な本だけダウンロードすればよい

 Kindleアプリではログインし直すとコンテンツはダウンロードし直しとなってしまいます。iTunesやApp Storeではアカウント切り替えに対応しているため、アプリのダウンロードやアップデート以外にアカウントの「国」を気にすることはありませんでした。しかしKindleはもう少し厳密に、ストアの国を気にする必要があります。

 これを解決する方法が、アカウントの統合です。Amazonは、複数の国のアカウントを1つのメールアドレスとパスワードに統合することができ、これまで購入していたKindleのコンテンツも1つにまとめることができます。また統合してからも、日本、米国、どちらで買い物をするのかを切り替えられるとのことで、ひとまず日本のアカウントに統合しておくことにしました。

 こうして、日本語のKindleがiPad miniにセットアップされました。サンフランシスコのリアルな書店で取り寄せたり、たまに日本に戻ったときにまとめ買いしなくても、好きなときに日本語の本を読む事ができるようになりました。話題の新刊も、Kindle版が出れば、日本とタイムラグなく読む事ができます。これは筆者にとっては非常に貴重な機会となりました。

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