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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第7回

今も猛威をふるう詐欺、じつは400年前にもあった!?

2012年12月21日 09時00分更新

文● 前田知洋

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声が高くて早口=ウソつきではない

 誤解していただきたくないのは、「声が高くて早口=ウソつきではない」こと。たとえば、外国語を話すときに声が高くなる人が多いのは、不慣れな外国語を話す行為が緊張を生み出すからだ。論理学の言葉をつかえば「ウソをつくときは声が高くなり早口になる」は真だけれど、「声が高く早口なひとはウソつき」は真にならない。「カラスは黒い動物」だけれど「黒い動物はカラス」が正しくないのと同じだ。感情や心は身体に現れるけれど、身体や動きで心のすべてを判断することには、そんな理由で筆者は懐疑的だ。

 話を戻すと、劇場型の振り込め詐欺の主人公が、甲高い声で早口で話しても電話を受けた人にとっては、ぜんぜん不自然ではない。なぜならその相手(詐欺師)は「交通事故を起こしてしまった」「会社のお金を使い込んでしまった」「妊娠させてしまった」などパニックにおちいった人を演じているからだ。

 そうした、ウソとパニックの違いは話し方や声では判断しづらい。「絶対に儲かる株を買いませんか?」と甲高い声で勧誘されれば「怪しい」と感じるが、「交通事故を起こしてしまって……」と相手が言っても不審に思うことは難しい。

声を聞いて、パニックにおちいっているのか、ウソをついているのか判断するのは難しい

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