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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第109回

DSD形式のネイティブ再生ができるDS-DAC-10の開発者インタビュー【後編】

音がいいっていうのは、やっぱりたまらないんですよ

2012年12月15日 12時00分更新

文● 四本淑三

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オーディオメーカーじゃない負い目

―― ところでDS-DAC-10は、何でこんなに安いんですか?

坂巻 確かに1bitの製品って高いです。でも技術的にものすごく高価かというと、そうでもない部分もあって、やっぱり普及しないから高いんですね。だから少しでも多くの人に1bitの良さをわかってほしい思って。

永木 それにKORGはオーディオメーカーじゃないのに、いきなり20万円とかの製品を出しても、お客様に見てもらえないだろうなと。この製品にしても、うちが得意なところだけをやろうと。レコーダーでやってきた、うちにしかない技術だけを取り出して、あとはUSBから変換するところだけを作って。

―― そこは逆に強い部分じゃないですか。つまり文字通り「ピュアオーディオ」という事でしょう?

坂巻 ただ、僕らは負い目を感じているところがあるんです。オーディオメーカーさんの味付けみたいなことって、僕ら全然わからないんですよ。これはメリットでもあるとは考えているんですけど。ところで永木さんはレコーダー何年やられてます?

永木 長いですよ。20年くらい。

坂巻 レコーダーって色がついちゃいけないんですよ。永木さんはずっとプロ機をやってきたんで、色がないということに関しては、ものすごい経験を持っているわけです。これがオーディオメーカーの方だと、クラシックがよく聴こえるようにはこうとか、ジャズのニュアンスを出すにはこうすればとか、色んなノウハウがあると思うんですけど、僕らにはない。オーディオって味にお金を払っている部分があると思うんですけど、僕らはそういう味を持っていないんです。

―― あとパネルに付いているバッジですよね。それさえ良ければ中身が2万円のCDプレイヤーでも100万円で売れたり。

坂巻 だから僕らとしては、DACを素直に作るしかないんです。

―― で、売れたとなると、次の展開もありうるわけですが。

坂巻 この製品の元が、普段の開発用に使ってきたものをベースにしているので、まだ音を良くする方法っていくつかあるんですよ。開発用としてはそこまでやらなくていいんですが。だから、もっと音を良くしていきたいと思っていますけどね。

関連製品の今後の展開も「考え中」とのこと

永木 もっと高額な商品であれば試してみたい事もいろいろあります。例えばオーディオマニアの中にはクロックを外部から供給したいという方も多く、そういうクラスの製品があってもいいでしょう。

石井 オーディオの中では1bitというのはまだまだ小さな存在なので、それをできるだけ広げられたらと思います。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。


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