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「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」発表

すぐに使えてオープン!富士通の垂直統合型DBシステム

2012年12月07日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月6日、富士通は垂直統合型データベースシステムである「FUJITSU Integrated System HA Database Ready」を発表した。高信頼・高性能はもちろん、設置したその日から利用できる容易さを大きな売りとなる。

長年の垂直統合の取り組みを結実

 FUJITSU Integrated System HA Database Ready(以下、HA Database Ready)は、ハードウェアとソフトウェアを一体化した垂直統合プラットフォーム「Dynamic Integrated System」の第一弾として提供される。ここでいう垂直統合とは、サーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウェアと各種ソフトウェアを最適な形で組み合わせつつ、富士通の運用・保守ノウハウを手順として組み込んだ形態を指す。

富士通 IAサーバ事業本部 本部長 遠藤和彦氏

 ハードウェアを担当するIAサーバ事業本部 本部長の遠藤和彦氏によると、こうした垂直統合の取り組みは、CPUやストレージ、メモリ、ネットワークなどの価格性能比の向上や、並列処理やインメモリ技術、ストリーミング処理などのデータ処理技術の進化など、ハードウェア、ソフトウェア双方の能力を最大限に引き出すシステムとして生まれたという。

 同社の垂直統合の取り組みは、2003年ITシステムの構成を標準化した「TRIOLEテンプレート」から本格的にスタートし、2007年には工場からユーザー専用のITインフラを組み込み、デリバリーするサービスを開始。そして昨年、仮想化/プライベートクラウド用の統合基盤である「Cloud Ready Blocks」を発表し、今回のDynamic Integrated Systemに至るという流れだ。ちなみにCloud Ready Blockは今後Dynamic Integrated Systemの製品群の1つに位置づけられる。

富士通 垂直統合への取り組み

 今回発表されたHA Database Readyは、サーバーにPRIMERGY、ストレージにETURNUS、ネットワークにSR-Xを採用することで、インフラを構成。HAという名前の通り、サーバーは冗長化されており、バックアップやミラーリングなどの構成も済んでいる。ソフトウェアとしては、OSにRed Hat Enterprise Linux、データベースにPostgreSQL互換のSymfoware、運用管理にSystemwalkerなどを用いる。

PostgreSQL互換でオープン性を担保

 ミドルウェア事業本部 本部長の新田将人氏は、HA Database Readyのコンセプトとして、「高信頼・高性能」「簡単導入・簡単運用」「オープンスタンダード」などの特徴を挙げた。

富士通 ミドルウェア事業本部 本部長 新田将人氏

 まず高性能という点では、データベース全体をPCIeのSSDに搭載するインメモリ技術により、I/O性能を最適化。「CPUの性能をフルに引き出し、従来の同社のデータベースに比べ、約20倍のトランザクション性能を実現した」(遠藤氏)という。信頼性に関しても、主サーバーが副サーバーにリアルタイムにデータを複製しているため、故障時には10秒で切り替えられるという。リカバリもボタンをクリックするだけで完了する。

従来の20倍にあたるトランザクション性能

データ冗長化と容易なリカバリを実現

 導入も容易。導入パターンに基づいて、構築や運用を型決めしてあるため、基本的にはネットワークにつなぎ、セットアップで管理者IDとIPアドレスを設定すれば完了。電源投入からデータベースまでわずか1日で利用できるという。運用に関しても、正・副のサーバーを交互に切り換えてパッチを当てることができるため、ノンストップで業務時間中にパッチを適用できる。

 さらにPostgreSQL互換のSymfowareを採用することで、さまざまなオープンソースソフトウェアやISVとの連携が可能になっている。富士通自体もグローバルで4万人にのぼるPostgreSQLのコミュニティに積極的に関与しており、JavaのインターフェイスであるJDBCの強化や64ビット版の検証、技術部会のリードなどを進めているという。こうしたコミュニティをベースにしたエコシステムで、幅広いアプリケーションが利用できる環境を整備していくという。

PostgreSQLのエコシステム

 税別の販売価格は6730万円で、出荷は2013年1月下旬より。富士通はオラクルのExadata Database Machineも販売しているが、「オラクルがハイエンドを狙っているのに対し、われわれはより中小市場をターゲットにしているので、まず市場が違う。一方、性能は同等で、運用性は非常によいと思っている。ここが大きな売りとなる」(新田氏)という。

FUJITSU Integrated System HA Database Readyと登壇者

初出時、新田氏の写真の説明が誤っておりました。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2012年12月7日)

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