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世界初の技術がグローバルビジネスを牽引する

「暗闇でも人物」や「100個同時センシング」などNECのR&D

2012年12月06日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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12月5日、NECは開発中の技術を披露するR&D(研究開発)説明会を開催し、ビッグデータやクラウド、セキュリティ、ネットワークなど幅広い分野で開発の成果を披露した。ここでは初公開となる「広域映像監視システム」と「物体センシング技術」について見ていく。

見えないモノを見えるモノに?

 NECは、現事業の拡大や新事業の創出のために中央研究所を中心に日々R&Dに取り組んでおり、研究成果はグローバルで展開されている。今回披露されたのは、ビッグデータ、SDN、実世界データとそのプロセッシング、セキュリティ、スマートエネルギーなどR&D強化領域の研究成果になる。

 同日発表された「広域映像監視システム」は、夜間・悪天候・遠方など見えにくい映像を鮮明化する技術で、犯罪やテロを未然に防ぐ映像監視システムでの利用を想定している。こうした監視システムでは専門の監視員が目視で映像を確認するが、夜間や悪天候、きりやもやが発生した場合は、見落としが発生してしまう。これに対して、NECの鮮明化技術を用いると、遠方の観察対象をクリアに視認できる。

左が撮影映像と単純拡大。右が鮮明化と超解像を用いた画像。結果は明らか

 映像の鮮明化は、色の変化の大きな境目を識別し、物体にあたる骨格部分と背景に当たるテクスチャ部分を分離。骨格部分に対しては、明るさとコントラストを改善する処理、テキスチャ部分に対してはセンサノイズを抑制する処理を実行する。

もやがかかっている映像の画質を向上させることが可能。PaPeRoさんたちもこの通り

 この鮮明化技術に映像中の複数フレームの画像情報を用いて、解像度の向上とノイズ除去を行なう超解像技術を組み合わせることで、暗い場所や悪天候でも人物を鮮明に捉えられる。

 ここでの技術的なハイライトは、超解像の処理をリアルタイムに行なえるようにした点だ。従来、この超解像技術は処理負荷が重く、1秒間を処理するのに約85秒かかっていたが、アルゴリズムの改善と高速CPUの並列処理により、処理能力が劇的に改良されたという。2800msecが33msecに短縮され、ほぼリアルタイムに高解像度化できるようになった。会場では、メニーコアCPUであるXeon Phiを搭載したサーバーを用いることで、汎用カメラで写した映像をリアルタイムに高解像度化する様子が披露された。デモを見ると、暗闇の映像が一気に見やすくなり、人物の顔や服装、所持品などが識別しやすくなったことが実感できた。

Xeon Phiのメニーコアサーバー(Express5800/HR120a-1)により、リアルタイムに超解像化を行なう

 一方で、人が写っていないときには処理を落とす、場所や時間帯によって処理頻度を調整するなどの制御を施すことで従来の3倍の処理量を同一ITリソースでこなすことが可能になっている。

(次ページ、100個以上を同時センシング!見えないところまで)


 

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