やはりモノクロのKindleは背伸びをせずに、文庫本や新書のテキストコンテンツ向きだろう。前述したとおり、Kindleストアで購入した電子書籍コンテンツは、ユーザー独自の「クラウド」に保存される。ユーザーはKindle対応の電子書籍端末を複数持っていても、常に自分の各端末に、制限なく電子書籍コンテンツをダウンロードできる。
筆者はKindleストアで購入したもうひとつのコンテンツである「父の暦」をKindleで少し読んだ後、アップルのApp Storeから自分のiPad miniに「Kindle for iPad」アプリをインストールし、同じコンテンツをダウンロードして読み進めていた。
そして再度Kindleを持ちだして、「父の暦」の続きを読むために同じコンテンツを開いたところ、「iPad miniではXXページまで読んでいるがそこまで移動するか?」と、別の端末での進捗を知らせてくれた。「Whispersync」(ウィスパーシンク)と呼ばれるこの機能は、複数の端末を状況によって持ち替えて読書したいユーザーにとっては、極めて便利なサービスだ。
Wi-Fiのみのモデルでもこのサービスは可能だが、このお知らせをきめ細かく受け取るには、3G回線でいつでもどこでもつながっている環境の方が有効だろう。Wi-Fiアクセスポイントだけに頼らず、いつでもどこでも書籍を購入できるという安心感と、Wikipediaの検索・参照の価値、きめ細かなWhispersyncの価値。これら3つを考えて、7980円のWi-Fiモデルと1万2980円の3Gモデルのどちらを選ぶかは、ユーザーの判断次第だろう。
電子書籍端末はクラウドサービスの
幅と機能、連携こそが重要
本来はKindleストアで購入した電子書籍を読むための端末であるKindleではあるが、端末1台ごとにAmazonから割り当てられる無償のメールアドレスをうまく活用すれば、電子書籍閲覧以外にも端末を便利に活用することも可能だ。
筆者は割り振られたメールアドレス宛に、パソコン上でPDF化したOfficeアプリの出力を送付して、Kindleやそれ以外のAmazonクライアント機器で見たり、プレゼンテーションに活用している。この機能から、電子書籍リーダーに留まらないKindleの拡張性や応用性が見えてくる。
国内の電子書籍ビジネスを見ると、クラウドサービスまで含めて考えた場合、Amazonは一歩二歩ではなく、すでに十歩先を行っていると言わざるをえない※1。電子書籍ビジネスで重要なのは、端末単体のスペックの優劣ではなく、コンテンツの豊富さに加えて、端末の高機能を意味あるものにするクラウドサービスの幅と機能、そしてナチュラルな連携が極めて重要なのだ。
編注:クラウドストレージを書庫として扱い、複数端末間でコンテンツや読書状況を同期する機能は、「BookLive!」なども提供している。
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今回の衝動買い
アイテム:Kindle Paperwhite 3G
価格:Amazonサイトにて1万2980円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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