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イエデンワとストラップフォンの父に誕生秘話を聞いた!

2012年11月30日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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イエデンワとストラップフォン爆誕秘話と
今後のお話を聞いた

八王子にあるABIT本社にやってきた筆者のイエデンワ

 イエデンワとストラップフォン。共通項はPHSということだが、どちらもPHSらしからぬデザインで話題を呼んだ。イエデンワはレビューやエクストリームでお伝えしているように(関連記事)、固定電話形状なPHS。電池駆動でモバイルもできるとあって、意外と持ち歩く人の多い製品だ。ストラップフォンは、フリスクサイズの極小PHSで、これも登場直後から品薄が続いている人気製品。いずれも、スマートな理由をつけてスマホレビューに組み込まれているので、記事を読んでいただいた人もいるだろう(関連記事)。

 イエデンワとストラップフォンを生み出したのは国内メーカーのABIT。ウィルコム製PHSを長く手がける企業で、通信機器や半導体の製造・開発を主な事業としている。

 今回は異色PHSの生みの親にインタビューする機会を得たので、イエデンワとストラップフォンについて根掘り葉掘りお話を伺ってきた。ASCII.jp内PHSラブラブ同好会構成員である筆者と編集スエオカは、胸をときめかせながら八王子へ飛んだのだった(編註・構成員は2名)。

ここがイエデンワとストラップフォンの故郷!

 ABIT本社は東京都・八王子にある。突如としてAndroid City宣言をしたり、アニメ制作会社があったり、コミックを取り扱う書店が妙に充実している町だ。応じてくれたのは、ストラップフォンやイエデンワだけなく、長くABIT製ケータイのデザインから開発まで行なっている、代表取締役・檜山竹生氏。つまり、ストラップフォンとイエデンワパパである。

開発にまでこだわりをもってタッチするABIT代表取締役・檜山竹生氏

八王子にあるABIT本社

──ABIT……、知っているようで知らない読者もいると思いますので、まずは会社の成り立ちをお願いします。

檜山竹生氏(以下、敬称略) 1985年7月に設立しました。いわゆる通信ビッグバンと呼ばれた時代です。通信関係、電話やデータ通信などをやってきました。交換機を作ったり、伝送装置を作ったり。日本テレコムがスタートしたときの設備関係も関わっていました。PHSは1991年に総務省が次世代コードレスフォンの規格を立ち上げようとして、そのときにABITとしてのケータイ事業がスタートします。PHSの父とか母とかはいえないけど、おじさんかおばさんといった立ち位置ですね(笑)。PHSについては高度化パケット通信の開発もやっていました。今でも測定器や製品、チップセットの提供をしています。

LTE エアプロトコルアナライザ。世界で唯一ABITのみが生産するプロトコル解析装置

檜山 2007年にウィルコムのW-SIMが出たじゃないですか。あれもABIT製で、自社からも出せる状態だったんですが……大人の事情で、アルテルという子会社から出しました。部品も供給しつつ、通信戦争に参戦していた形ですね。ソフトもハードも作って、製品も作って……と。W-SIMはおかげで100万個以上出ています。その結果、PHS製品を開発する仕組み、売る仕組み、サポートする仕組みができたので、そろそろオリジナルデザインのPHS製品を出してみようか、と。

 次にブランドとしての顔が必要なので、まず会社の内装を新しくしました(笑)。それまではオフィスが八王子市内に点在していたんですよ。それらを集約し、会社のデザインからブランドとしての信頼を得ようとしました。

半導体の開発も行なっている

綺麗なオフィスとイエデンワ

──点在していたオフィスはどうなったんですか?

檜山 倉庫やサポートセンターになっています。あとはアニメーション制作を行なっているんですが、あまり知られてないでしょうね。そういったクリエーターたちを、ABITとして支援しているんです。デザインを考えるときには、いろいろな手法が必要になりますからね。アニメだと何もないところから手法が出てくるので、コンテンツを生み出しやすいんです。

──コラボもあると?(平静を装いつつ、驚いている筆者とスエオカ)

檜山 たとえば、2年前のアニメに出ていた製品が、そのまま商品として出てくることもあるでしょうし、説明が難しい製品の場合はアニメで伝えることもできますよね。あとは、製品のガイダンスやナビについても有名な声優さんを採用できるというメリットもあります。

──なるほど!

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