フルサイズセンサー搭載コンデジ「RX1」で写真を撮りまくった!

文●周防克弥

2012年11月28日 12時00分

 ソニーの「サイバーショット DSC-RX1」(以下RX1)は、銀塩時代のコンパクトカメラを彷彿させるクラシカルなボディーを持ち、準標準ともいえる35mm広角レンズを装着したレンズ固定式のデジカメだ。

 最大の特徴は35mm版フルサイズの撮像素子を採用する点。APS-Cサイズの撮像素子を搭載するレンズ固定式のコンパクトデジカメはいくつか存在するが、このサイズの撮像素子を採用するレンズ固定式のコンパクトデジカメは世界初となる。そんなRX1で撮影サンプルを撮りまくった!

この小さなボディーにフルサイズセンサーを入れちゃうとは……

フルサイズセンサーを採用しているとは思えないほど小さいボディーに大きなレンズが特徴の「DSC-RX1」。素子サイズは大きいが、ブランドとしてはサイバーショットブランドのコンデジで、αシリーズではない

 レンズ部分は大きいが本体はかなりコンパクト。本体サイズは幅113.3×奥行き69.9×高さ65.4mm、重量は電池とメモリーカード込みで約482gとなっている。

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グリップ部にはラバー素材が貼られている。その分若干厚みがあり、指が掛かりやすくなっている
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右手側に動画記録ボタンがあるが、全体的にボタン類は少なくコンデジライクな使い方ができる。画面インターフェースはαシリーズとほぼ同じ構成だ

 その小さなサイズとは裏腹に手に持つと重量感を感じるが、重さはそのままカメラの存在感と言える。APS-Cサイズを採用する同社の「NEX-7」より縦横のサイズは小さく、NEX-7に24mm/F1.8を装着した状態よりも小さくて軽い。ただしその分値段が高く、ソニーストアでは24万8000円で販売している。

背面から見ると右手でほとんどの操作を行なえるように、ボタンやダイヤルが配置されているのがわかる
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シャッターボタンにケーブルレリーズ用のネジが切ってあるのはうれしい。「C」マークのボタンでは設定項目を素早く呼び出せる
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AFとMFの切り替えは専用レバーで操作する。マニュアル時には拡大表示、ピーキング表示もでき、手動でのピント合わせも難しくない

 RX1は、スタイル的には同じサイバーショットシリーズの「RX100」と共通するイメージがあるが、本機はよりカメラらしい仕上がりになっている。凹凸のほとんどないフラットな形状のRX100に比べてシャッターボタン、モードダイヤル、ホットシューなどが埋めこまれておらず、ボディーよりもはみ出して存在感があり、カメラらしさを演出している。

 モードダイヤルの側面処理やシャッターボタン基部の電源スイッチあたりの造形は昔のカメラを使っていた人には懐かしさを感じる仕上げだ。

 右手側の一番外側には露出補正用のダイヤルがあり、積極的に露出補正を使うようにデザインされている。背面ディスプレーには3型(約122.9万画素)の「エクストラファイン液晶」パネルを採用。明るい屋外でも視認性は高い。

小さいがストロボが内蔵されているのは結構便利だ

 上部の外部ストロボ用アクセサリーシューには専用の接点が用意され、同社のデジタル一眼レフでフラッグシップモデルの「α99」と同じアクセサリーを使用可能なほか、一般的なホットシューの形状をしているので汎用アクセサリーの使用もできる。

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側面のインターフェース。上から充電対応のUSB端子、HDMI出力、外部マイク端子
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電池室とメディアスロットは底部にある。バッテリーは「RX100」と共通の「NP-BX1」で、最大約270枚の連続撮影が可能


ISO感度は最大102400まで設定可能

 RX1が採用する撮像素子は有効画素数約2430万画素の“Exmor”CMOSセンサーで、α99と同じ画素数だが、AFは撮像素子面の位相差センサーは採用されず、コントラスト検出方式のみになっている。

 しかし、AFの検出スピードは撮影した限りでは十分なスピードがある。装着されているレンズが35mmと広めな事もあり、普通使う分には遅さを感じることはないだろう。

 画像処理エンジンは「BIONZ」(ビオンズ)を採用。感度設定は拡張機能をオンにするとISO 50から選択可能。複数回シャッターを切って合成する「マルチショットノイズリダクション」をオンにすると最高でISO 102400まで設定可能になる。この辺はα99と同じだ。

感度別撮影サンプル
(マルチショットノイズリダクションをオフ)

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ISO 50
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ISO 100
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ISO 200
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ISO 400
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ISO 800
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ISO 1600
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ISO 3200
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ISO 6400
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ISO 12800
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ISO 25600

感度別撮影サンプル
(マルチショットノイズリダクションをオン)

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ISO 100
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ISO 200
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ISO 400
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ISO 800
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ISO 1600
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ISO 3200
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ISO 6400
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ISO 12800
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ISO 25600
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ISO 51200
ISO 102400

 RX1では、マルチショットノイズリダクションをオンすると暗部で大きめなノイズが発生しやすいが、階調幅はオフよりも広く再現される。使い分けが難しいがノイズの少なさを取るかディテールの再現性を取るかでどちらかを選択するのがいいだろう。

 高感度撮影時の画質はさすがにフルサイズだけあってかなり良好といえる。ノイズリダクションの処理はディテール重視な方向のようで、ノイズそのものは発生するが細かいディテールが崩れることが少ない。



マクロ撮影モードを搭載し
レンズ補正機能も完備!

 RX1のレンズはカールツァイス「ゾナーT*」(35mm F2 単焦点)で、最短撮影距離は通常時で30cmまで、マクロに切り替えることで20~30cmまでの範囲にピントを合わせることができる。

 マクロへの切り替えはレンズ先端のピントリングの手前にあり、素早く切り替えが可能だ。レンズが固定されていることで撮像素子とのチューニングが最適化されているようでかなり素晴らしい画質を得ることができる。

電源オフ(左)と電源オン(右、通常撮影)ではレンズの長さは変らない
マクロモードに切り替えると物理的にレンズを繰り出す(右)が、ほんの数ミリ程度だ

 レンズ補正については周辺光量、倍率色収差、歪曲収差のそれぞれを補正する機能がある。デフォルトでは歪曲収差だけオフの状態で、ほかの2つはオート設定になっている。

レンズ補正をすべて「オフ」にした撮影サンプル

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周辺光量補正のみ「オート」の撮影サンプル

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倍率色収差補正のみ「オート」の撮影サンプル

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歪曲収差補正のみ「オート」の撮影サンプル

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 RX1では、基本的にはどの項目もオートに設定しておくのがよさそうだ。あえて周辺部で暗くなるように周辺光量設定をオフにしてクラシカルなイメージにするのもありだと思う。



ボケ具合をチェック! 
被写界深度はかなり浅め

 RX1は絞り羽根が9枚と多く、円形にぼけるのが特徴だ。そこで絞りを変えて背景のボケ具合を確認してみた。

背景のボケ具合

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 絞り開放からシャープネスは高く、周辺部で若干甘くなるのはしょうがないとして、1段から2段くらい絞るだけでもかなりよくなる。

 35mmと少し広めのレンズではあるが、フルサイズということもあり、ピントの合う範囲と被写界深度はかなり浅いので注意が必要だ。

HDRや各種エフェクト機能も搭載
楽しい撮影もできる

「クリエイティブスタイル」の設定画面。各項目で画質の調整が可能だ

 RX1の撮影機能は、サイバーショットやαシリーズに準じる。シーンも含めて自動選択を行なう「プレミアムおまかせオート」をはじめ、各種マニュアル機能まで標準的な機能はひと通り揃っている。

左から、通常、「Dレンジオプティマイザー」(オート)適用、「HDR」(オート)適用の撮影サンプル

 また、「HDR」や「Dレンジオプティマイザー」といったダイナミックレンジを広げる機能や「クリエイティブスタイル」「ピクチャーエフェクト」といったエフェクト系機能も備わっており、思い通りの色合いに調整できる「デジタルフィルター」の効果を楽しむ事も可能だ。

 ついうっかりコンデジのつもりでデジカメに不慣れな人が購入してしまった場合でも普通に撮影を楽しむことのできる機能を持っている。

Dレンジオプティマイザーの撮影サンプル

左からLv1、Lv3、Lv5の適用レベル

HDRの撮影サンプル

左から1EV、3EV、6EVの露出差レベル

 DレンジオプティマイザーとHDRはどちらかを選んで設定することになる。

 共にオート設定のほか、適用度を強~弱で設定可能だ。Dレンジオプティマイザーは5段階までの強弱を調整可能で、HDRは露出差で6段分まで手動で設定ができる。

 共に明暗差の激しいシーンで、白飛びや黒ツブレを防ぐ、ラチチュードを広げるための機能だが、Dレンジオプティマイザーは1回のシャッターで補正を行なう。このため動きのある被写体で有効だが、暗部にノイズが乗りやすい。

 一方のHDRは複数回のシャッターで合成を行なうため、動きのある被写体には、向かないが画質的には有利な仕上がりが期待できる。

 共にシーンによって使い分けが必要だが、通常使用する分にはDレンジオプティマイザーをオートに設定しておけば安心だ。

クリエイティブスタイルの撮影サンプル

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セピア
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モノクロ
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紅葉
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夜景
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夕景
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風景
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ポートレート
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ライト
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ディープ
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クリア
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ニュートラル
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ビビッド

 クリエイティブスタイルを使うと、発色や明るさなどを選ぶだけで適切な効果を得られる。それぞれの項目でさらに明るさやコントラストなどを細かく調整することもできるので自分好みに細かい設定を行なえる。

ピクチャーエフェクトの撮影サンプル

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トイカメラ
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ポップカラー
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ポスタリゼーション
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レトロフォト
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ソフトハイキー
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パートカラー
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ハイコントラストモノクロ
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ソフトフォーカス
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絵画調HDR
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リッチトーンモノクロ
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ミニチュア
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水彩画調
イラスト調

 デジタル的な処理で特殊効果の得られるピクチャーエフェクトは、項目によって強~弱の設定ができるほか、1色だけを残してそのほかをモノクロにする「パートカラー」では残す色を自由に選べる。

 簡単な設定をするだけでレタッチソフトで修正をかけたような撮影ができ、最近人気の機能。RX1でちょっと面白く撮りたい時などに便利だ。



気軽におすすめできる値段ではないが
画質においてはカンペキ

プログラムオートで撮影(F5.6、1/80秒)。近接能力としてはコンデジ感覚で使うと近寄れきれない感じになる。最近のコンデジは普通にレンズ前1cmとか寄れるので、その感覚で撮ろうとすると思ったよりも近づけない。が、フルサイズ35mmレンズで20cmまで寄れるのはデジイチの感じからすればかなり寄れるほうだ
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絞り優先オート(F2)。あえて開放絞りで目一杯被写界深度を浅く撮影した。花びらの透明感や階調幅はすばらしい
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絞り優先オート(F4)。逆光でも解像力が高い。シャープネスの処理は控えめでディテールの再現性が高い

 RX1では、サイズが小さいからとコンデジライクに使うと、思ったよりピントが浅すぎてしまうシーンが多かった。画素数が多い分注意が必要だ。

 焦点距離35mmのレンズ固定でフルサイズ機、値段もそれなりにするのであまり一般的な使い方をする人向けではなく、ちょっと趣味の方向性が強いイメージだ。

 正直、あまり気軽におすすめできる金額ではないが、思い通りに使えて、思った通りに写る数少ないデジカメであることは間違いない。

 高画素と専用レンズの組み合わせは、画質においては同サイズ・同画素数を採用するデジタル一眼よりも有利だ。レンズを交換することで画質が低下してしまう可能性は結構高く、画素数が多ければ多いほどレンズに要求される性能も高くなる。

 RX1ならはじめから専用のレンズがついているため、常に高画質な写真を撮れるというアドバンテージがある。レンズの画角の好みもあるが、携帯性と高画質を求める人で、なおかつ資金に余裕がある人なら満足できるだろう。



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