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Apple Geeks ― 第95回

「MacBook Pro 13 Retina」の液晶について考える

2012年11月23日 11時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobuTELAS

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

「MacでRetina」の歩みが遅い理由

 現在、MacBook Proを買い求めようとするユーザーの多くは、「ディスプレーがRetinaか否か」を気にしているはずだ。MacBook Proには、従来どおり非Retinaモデルもあるが、一方で薄さ/軽さを重視すればMacBook Airという選択肢があり、価格もこなれている。そこを補ってあまりあるのが、一度目にすると忘れることができない「Retinaディスプレイ」の魅力なのだ。

13インチ版の「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」

 そのRetinaディスプレイに明確な定義はないが、あえて書けば「人間の網膜が認識できる上限(300ppi)に迫らんとする高精細な表示装置」となる。実際のところ、網膜レベル以上の精細さを備えるのはiPhone 4/4S/5のみで、13インチ(227ppi)/15インチ(220ppi)のMacBook Pro Retinaディスプレイモデルも第3/4世代iPad(264ppi)も、300ppiには遠い。実際目にすると、従来の120ppi前後の液晶パネルに比べて明らかに精細感は高いが、厳密にいえば「ほぼRetina」や「ニアリーRetina」といったレベルだ。

 そのRetinaディスプレイ、特にLEDバックライトでは色ムラが生じやすいなど製造技術における課題もあるが、パソコン向けにはなかなか採用が進まない。高精細ディスプレーそのものは、「Retinaディスプレイ」が注目されるだいぶ以前から存在していたにもかかわらず、だ。

 それは、おそらく「歩留まり」が原因だろう。液晶パネルは、液晶テレビにおいては製造原価の7割近くを占めるとされ、ノート機種においてもCPUやHDDに並ぶかそれ以上の高価な部材となっている。歴代のiPadにおいても、もっとも高価な部材はマルチタッチ対応の液晶パネルであり、高精細化された第3世代iPad以降はその比重がより高まったと推測される。それは、通常モデルに比べRetinaモデルが約4万円高く設定されていることからも明らかだ。

 「では、iPhoneやiPadは?」と聞かれそうだが、iOSデバイスはMacに比べ生産台数がひと桁違う。製造量の少ない製品は高コストになりがちで、高い技術水準が要求されるため歩留まりが落ちる。OS XにはLionの頃から高精細表示モード(HiDPI)が用意されていたことからしても、数年以上前からディスプレーの高精細化を検討していたことは確実で、歩留まりの問題が緩和(解決ではない)されつつあることから、基本的にはハイエンド向けであるMacBook Proに投入してきたと考えられる。なんのことはない、「MacでRetina」の歩みが遅い理由はコストなのだ。

表1:「Retina」をうたうApple製品
モデル名 解像度
(ドット)
液晶サイズ
(インチ)
ピクセル密度
(ppi)
MacBook Pro 13
(Retina Late 2012)
2560×1600 13.3 227
MacBook Pro 15
(Retina Mid 2012)
2880×1800 15.4 220
iPhone 4/4S 640×960 3.5 326
iPhone 5 640×1136 4 326
第3世代iPad 2048×1536 9.7 264

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