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21:9液晶の「U2913WM」でWindows操作やゲームを堪能 (5/5)

2012年11月23日 11時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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PCゲームは2560×1080で表示できるのか?

 21:9のアスペクト比はいわゆる「シネスコ」サイズに近いので、本来ならシネスコサイズの映画表示にも適している。とはいえ、シネスコサイズが収録されたBD/DVDを持っていない記者は、そうしたコンテンツを試せない。

 一方、ヘビーなPCゲーマーでもある記者にとってU2913WMの21:9画面は、16:9以上の臨場感でゲームを楽しめるのではないかという期待がある。そこで手持ちの3Dグラフィックゲームのいくつかを試してみたところ、期待どおりとばかりは言えないが、なかなか興味深い結果となった(GPUはGeForce GTX 580を使用)。

Call of Duty:Modern Warfare 3

 まず試してみたのがFPSの「Call of Duty:Modern Warfare 3」(以下MW3)だ。MW3のゲーム内オプションの「Resolution」では、正しく「2560×1080」が認識されている。そこでこの解像度を選んでみた結果が以下のとおり。左がフルHD解像度での画面で、右が2560×1080で表示した状態のスクリーンショットである(掲載用に縦450ドットで縮小済み、以下同)。

MW3のフルHD表示時

MW3の2560×1080表示時

 パッと見では正常に2560×1080ドット/21:9で表示されているように見えるかもしれないが、左右の端付近を見比べてほしい。どちらも表示できている範囲は同じであり、右の画像は左の画像を横長に引き伸ばしただけなのがわかる。つまり実際はフルHD/16:9のままで、21:9でのレンダリングができていない。

設定画面では解像度を正しく「2560×1080」(赤枠内)と認識しているのだが……

アスペクト比設定(赤枠内)では、ワイド画面は「16:9」か「16:10」しか選べない

 どうやらMW3はワイド画面の場合、内部的にレンダリングするアスペクト比は16:9か16:10のみで、それをアスペクト比21:9の画面に表示しようとしても、単に横に引き延ばされるだけのようだ。ゲームができないわけではないが、横に間延びした画面は違和感がある。可能性は予想していたが残念だ。

Battlefield 3

 「やべえ、ゲームのdot by dot表示には使い物にならんのか……」と顔が青くなったが、気を取り直して今度は、同じFPSでも「Battlefield 3」を試してみた。実のところBattlefield 3については、高確率で正常に表示できると予想していた。画面解像度の設定オプションでも、正常に「2560×1080」を認識している。結果もこのとおり。

Battlefield 3のフルHD表示時

Battlefield 3の2560×1080表示時

 右の画像は左の画像では描かれていない、右手に見える人物や戦闘機のエンジンノズルまで表示されているのがわかるだろう。Battlefield 3は正常に2560×1080ドット/21:9での表示が可能というわけだ。横方向が幅広く見通せる超横長画面は、臨場感も抜群で素晴らしく美しい。余談だが、Battlefield 3は1080×1920の縦置き画面というアスペクト比でも正常に表示できるゲームなので、21:9程度はできて当然だろうと思っていた。予想どおりだ。

The Elder Scrolls V:Skyrim

 最後に、記者が累計で300時間以上遊んでいる「The Elder Scrolls V:Skyrim」(以下Skyrim)を試してみた。まずSkyrimは起動時のオプションからゲームの表示解像度を選択するが、解像度一覧には「2560×1080」がなく、「1920×1080」止まりだった。このままではMW3のような横長表示しかできない……。

 そこで一計を案じてみた。Skyrimはセーブデータや各種設定を保存するフォルダの中に、表示設定などを記録した「SkyrimPrefs.ini」という設定ファイルがある。その中を見てみると……予想どおり解像度を指定した項目があった。ここを以下のように書き換えてみた。

[Display] セクションの
iSize H=1080
iSize W=1920
これを……
iSize H=1080
iSize W=2560
W=2560に書き換える

 書き換えたのち、通常どおりにゲームを起動してみたのが以下の画像だ。

SkyrimのフルHD表示時

Skyrimの2560×1080表示時

 左のフルHD時と比べて、右の2560×1080時では左右の表示範囲が広がっているのがわかる。見事成功だ。広々とした画面はBattlefield 3と同様に、最高の臨場感がある。ただし、Battlefield 3ほど完全に支障なく表示できているというわけでもない。ゲームをしてみてもおおむね問題はなく遊べるのだが、いくつか重大な問題もあることに気付いた。

 Skyrimでは起動時の選択画面や、ゲーム中で3D画面にオーバーラップ表示される各種メニュー画面が、アスペクト比16:9を前提に作られているらしい。ほとんどの場合はこれでも問題ないのだが、唯一インベントリ画面の際に、画面右下に表示される所持重量や所持可能重量、所持金の欄が、画面外に消えてしまうのだ。記者はすでに一度本編をクリア済みなので、金やアイテムには困らないし、いくつかのMOD(ゲームを改変するアドオンプログラム)により重量の制限もあまり気にしなくてよくなっているので問題とは感じないが、MODを使わず最初からプレイするとなると、これはかなり困ったことになるはずだ。

記事執筆後に判明した症状について補足する。Skyrimを上述の方法で2560×1080ドット/21:9表示に対応させた場合、鍛冶や付呪といった生産スキルの画面でも、画面左下に並ぶ操作キーのガイドが画面外に隠れてしまうという現象を確認した。ガイドが隠れるだけなので操作はできるが、生産時の操作に慣れていないうちは戸惑うだろう。(2012年11月26日)

 この程度の修正であれば、簡単なMODを作って修正できそうにも思えるが、今のところそれもない。Skyrimを2560×1080ドット/21:9でプレイするのは可能だが、少々問題があるというところだ。

 現状では21:9のアスペクト比で表示可能なゲームは稀であろうから、多くの場合MW3と同じような現象になるかと思われる。おそらくは、AMDのマルチディスプレー表示技術「AMD Eyefinity」やNVIDIAの「3D Vision Surround」に対応しているゲームであれば(Battlefield 3はEyenifity対応)、柔軟なアスペクト比に対応できると思われるので、こうしたゲームであればU2913WMでも支障なく遊べるのではないだろうか。

 ゲームの表示テストは問題もあったが、U2913WMの超横長画面は、一般的なパソコン操作は非常に快適にできるし、表示が対応できればゲームの臨場感も抜群に向上する。ワイド画面が嫌いでない人なら、誰にでもお勧めしたい製品だ。

U2913WM の主な仕様
パネルサイズ 29型ワイド(ノングレアタイプ)
解像度 2560×1080ドット
視野角 左右178度、上下178度
最大輝度 300cd/m2
コントラスト 1000:1(ダイナミックコントラスト時200万:1)
応答速度 8ms(Gray to Gray)
映像入力 デュアルリンクDVI-I、DisplayPort 1.2、mini DisplayPort 1.2、HDMI、アナログRGB
サイズ 幅699.8×奥行き194.2×高さ358.7~487mm(スタンド含む)
質量 約8.34kg(スタンド、ケーブル含む)
価格 3万9980円


デル株式会社

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