このページの本文へ

iPhoneの音を高品質に! ポータブルヘッドフォンアンプを選ぶ

2012年11月14日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

電源不要で音質を改善するアイソレーショントランス
中村製作所「NIP-01」

電池のようなデザインの「NIP-01」

電池のようなデザインの「NIP-01」

 中村製作所の「AClear Porta NIP-01」(実売価格1万円前後)は、ヘッドフォンアンプっぽいが正確にはヘッドフォンアンプではない。

 電源不要で使えることが最大の特徴の「アイソレーショントランス」。電気信号の増幅(音量の増減)などは行なわず、トランスを通過させることで音楽信号の質を改善するものだ。

 実はこうしたアイソレーショントランスは、昔からオーディオコンポに採用されている技術。トランスには通過する信号帯域があり、超高域や超低域など帯域外の信号は通さない。これを利用して音楽信号には不要な高域の歪み成分を除去する目的で使うのだ。

 また、電気回路に詳しい人ならご存じの通り、トランスは電磁誘導によって電圧を変化させるため、回路的にはつながっていない。すなわちノイズ遮断にもある程度の効果が期待できるのだ。

 ちなみに入力トランスを備えたプリアンプや、スピーカー出力の直前に出力トランスを備えたパワーアンプなどは現在でも実在している。

本体上部に入出力端子がある。それ以外にスイッチ類などは存在ぜず、差すだけで使えるので超簡単

本体上部に入出力端子がある。それ以外にスイッチ類などは存在ぜず、差すだけで使えるので超簡単

「秋のヘッドフォン祭2012」で展示されていたカラーバリエーション

「秋のヘッドフォン祭2012」で展示されていたカラーバリエーション

 NIP-01は単2電池を長くしたような外観で、直径は23mm、高さは57mm、重量は約40gだ。上部にステレオミニ端子の入出力があり、内部には左右独立のトランスが2つ内蔵されている。ケースはアルミ製でカラーバリエーションは5色が用意されている。

S/Nが向上! 低音感も弾むような軽やかさが加わる

音質評価

  • 解像感 :★★★★
  • ボーカル:★★★★
  • 低音   :★★★★
  • 音場感 :★★★★

 さっそく聴いてみると、ポップスではベースやドラムの低音感の変化が大きい。音域の伸びに違いはないが、量感がより軽やかで弾力感のある感触になる。ズシっとくる重さよりも、弾むような反応の良さが強まる印象だ。

 アニソンでは、ボーカルの粒立ちがよくなって、声がより鮮明になる。S/Nがいいというか、雑味が減ってよりクリアになる。録音のせいもあって音がキツくなりやすいところをまろやかにし、細かい音の差まで聴き取れるようになる。

 クラシックやジャズも音の見通しのよさが向上したと感じる。低音感はややソフトなイメージだが、弾力感があるので不満は少ない。すっきりとした表情にはなるが、あっさりした音にはならない。

 低音の量感をもう少し抑えたいという人や、高域のキツさが気になるという人には大きな効果があると思われる。比較的安価だし電源不要で使い勝手もいいので、気軽に試せて効果もよくわかるアイテムだ。

■Amazon.co.jpで購入

カテゴリートップへ

ASCII.jp RSS2.0 配信中