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簡便さと書店連携でシニア層取り込みを狙う

BookLiveがWiMAX内蔵の電子書籍端末「Lideo」を発表

2012年11月07日 16時29分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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 Amazon「Kindle」の日本市場投入や楽天Koboの新端末などで賑わう電子書籍端末市場に、新たな製品が登場する。BookLiveは7日、同社の電子書籍サービス「BookLive!」向け電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」(以下Lideo)を発表した。WiMAX通信機能の内蔵と、シニア層を視野に入れた操作・設定の簡便さを特徴としている。発売日は12月10日の予定で、価格は8480円。

「BookLive!Reader Lideo」。画面はホーム画面となる「本棚」

 Lideoは6インチサイズのモノクロ電子ペーパーを採用した、電子書籍専用の端末である。対応する電子書籍サービスを手がけるBookLiveは、凸版印刷グループが中心となって設立された企業で、電子書籍サービスでは国内最大級の約10万冊を取り扱うとしている。冊数の内訳についても、楽譜や自費出版などは含まない「普通の感覚で書籍として流通しているもの」で、冊数をかさ上げするための水増し的な数ではないとしている。LideoはBookLiveで販売される電子書籍のうち、約9万5000冊を購入・閲覧できるという(冊数の差はモノクロ端末に向かないカラーの雑誌を除いてるため)。

 通信機能として無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)に加えて、WiMAXに対応するのも大きな特徴である。WiMAXの通信サービスはUQコミュニケーションズが提供。通信費用は端末代や書籍代に含まれる形で、ユーザーは別途通信費を支払う必要がない。なお端末はNECが製造する。

電子書籍ストアの画面。「クラウド書庫」のコンセプトにより、買った書籍はクラウド上に保存して、読みたい端末にダウンロードするという仕組み。すでにWindowsパソコン、iOS、Android、Windows Phoneに対応している

 本体サイズは幅110×高さ165×厚さ9.4mm、重さは約170g。公衆無線回線を搭載する電子書籍端末としては、世界最軽量をうたっている。ストレージ容量は4GB。ディスプレー解像度は600×800ドットで、フロントライトは備えていない。バッテリー駆動時間は、1日30分の読書で約1ヵ月としている。メモリーカードスロットの類は備えていない。メモリーカードをサポートしない点については、BookLive!のクラウドサービス上に用意されるユーザーごとの「クラウド書庫」に本を貯めておけるため、端末固有のストレージが固定である点はカバーできるとしている。

漫画の表示を接写で撮影。解像度が低めなのでルビの文字はややかすれているが、読めないほどではない

本体下部に電源スイッチとmicro USB端子を備える

 11月8日から三省堂書店店頭での予約受付を開始。11月19日からはBookLive!のウェブサイトでも予約を受け付ける。発売日は12月10日の予定。

朝日新聞と提携し、端末への電子版新聞の配信も行なう。紙と同じタイミングで掲載される点をアピールしている

端末参入の狙いは「誰でも使える」の訴求

 BookLive代表取締役社長の淡野 正氏は、専用端末発売の意図について、「誰でも使える」サービス実現のためとしている。既存のスマートフォンやタブレット端末を想定した電子書籍サービスやアプリに対して、難しさや煩わしさを感じるシニア層を電子書籍サービスに取り込むためには、簡便な専用端末が必要であると考えて専用端末の発売に踏み切ったという。

 簡便さのひとつとして、購入までに必要な初期設定のわかりやすさを挙げている。箱から出して電源を入れたあとは、誕生日や性別の入力、パスワード設定だけで初期設定が完了するとしている。さらにクレジットカード情報の入力と会員登録を行なえば、書籍を購入・閲覧できるようになる。

 ディスプレーの下部にボタンが並ぶ構成は他社製品と似ているが、ボタン類に日本語で機能名が書かれている点も、わかりやすさを重視したデザインという。また紙のマニュアルも付属しているので、ウェブブラウジングができる環境がなくても、操作方法を確認できる点も、わかりやすさ重視の一環としている。

 書店との連携も独自色の強い点だ。まず端末は家電量販店ではなく、書店の店頭(およびウェブ直販)で販売するという。また三省堂書店と多方面で連携。三省堂書店でのユーザーサポートや、店頭の書籍検索機や三省堂のスマートフォン向けアプリにて、電子書籍の案内を行なう。またすでに展開中である、店頭レジにて現金で電子書籍を購入できる「店頭電子コンテンツ決済サービス」も、Lideoで利用できるようにする。

 すでにマルチデバイスのサービスを展開している電子書籍サービスが、独自の端末販売に踏み切るのは珍しいケースではある。だがユーザー層を広げるために利便性を重視した結果として、端末提供や書店連携というアプローチは興味深く、今後の展開に期待したい。

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