「Windowsならでは」の使い勝手が光るWindows RT
問題はWindows 8スタイルアプリの充実
Surfaceをしばらく使っていて感じるのは、Windows RTが予想以上に快適なことだ。プロセッサーが1GHz強で動くTegra 3なので、例えばWindows UpdateでのOSやOfficeアプリのアップデートをさせたりすると、さすがに普段使っているCore i7のようにはいかず、かなり待たされる。しかしWindows 8スタイルのアプリを使ったり、ウェブブラウジングをしたりといった用途では、取り立てて遅いという印象は受けなかった。
それ以上に「使いやすいな」と感じたのは、Windowsなので今までのWindowsの経験がそのまま適用できること。OSの設定や操作で戸惑うことはないし(記者はすでにスタート画面に慣れているせいもある)、ネットワークや基本的な周辺機器も、Windows 7と同じように使える。無線LAN経由で家庭内LANに接続してみたが、LAN内のパソコンやメディアサーバーが当たり前のように表示され、共有フォルダー内にある動画を再生できた。
タブレットとしてのSurfaceは、かなり魅力的なハードウェアであると言える。デザインや質感は上質で、軽さや薄さも平均的。Touch Coverのアイデアや使い勝手も悪くない。Windows RTも軽快に動作するので、これが599ドルで販売されるのだから、マイクロソフトのパートナーだったパソコンメーカーが懸念を示すのも理解できる。これだけの製品を世界の主要市場で大量投入されたら、ほかのWindows RTタブレットは存在意義がなくなりかねないからだ。
一方で、やはりOSがWindows RTであるという点は、Surfaceの大きな弱点でもある。Surfaceの問題というよりWindows RTの問題であるが、今までのWindowsアプリが動かせない、周辺機器のデバイスドライバーも別途必要というのは厳しい。Windows 8スタイルのアプリが増えてくれないことには、iPadやAndroidタブレットをしのぐことは難しい。
Surfaceは優れたデザインで軽く薄く、バッテリー駆動時間も長い。まさにWindows RTのリファレンスとなるタブレットだ。一方で他のパソコンメーカーが発表したWindows RT製品の中には、既存のノートパソコンとの違いがあまり見えないものもある。既存のWindowsアプリが使えないというハンデがある以上、Windows RTを搭載するマシンに求められるのは、パソコンでは実現できない軽さや薄さ、バッテリー駆動といった特徴だ。それが実現できないWindows RT製品では、Surfaceとは戦えないだろう。
これだけ優秀なWindows RTタブレットであるSurfaceが、日本で発売されないというのは実にもったいない。Windows 8スタイルアプリの開発促進という面からでも、これが日本市場にないというのは損失だと感じる。Surfaceの日本投入を切に期待したい。
Microsoft Surface(32GB)の主な仕様 | |
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CPU | Tegra 3(1.3GHz) |
メモリー | 2GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 10.6型 1366×768ドット |
ストレージ | SSD 32GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
インターフェース | USB 2.0、micro HDMI出力、microSDXCカードスロット、ヘッドホンなど |
サイズ | 幅10.81×奥行き6.77×高さ0.37インチ (幅27.5×奥行き17.2×高さ9.4mm) |
質量 | 約1.5ポンド(約680g) |
バッテリー駆動時間 | 約8時間 |
OS | Windows RT |
価格 | 599ドル(Touch Cover付き) |