いまいちピンと来ない?
西海岸の“it”業界人たちにとっての「Sprint」
さて、筆者は米国で、ベライゾン・ワイヤレスの回線でiPhoneを利用しています。1年前に米国に来て携帯電話を購入する際、ある程度米国内でも都市を移動することを考え、エリアの広さを念頭に考えました。サンフランシスコ市内でAT&TはiPhoneユーザーが増えすぎてデータや音声通話がキツイ、という話を聞いていたこともあり、ベライゾンを選択しました。Sprintは、1つ目の条件のエリアの広さで、選択肢から除外してしまいました。
テクノロジー関連で働くサンフランシスコの人でSprintのユーザーを探すのはなかなか至難の業です。周りの人に記者会見のあとSprintについて聞いてみると、10人の中には、使っている人を発見することはできませんでした。
その基本的なイメージは「3番手」「リーズナブル」。
通信費を節約したい、というのはどこの国でも共通ですが、テクノロジーに関わっている人の場合、快適につながらないと意味がないのも確かです。またiPhoneがAT&Tから販売されはじめて、引き続きAT&Tを使っている人が多いという事情は、iPhoneが日本でも1stキャリアであるソフトバンクを主軸に動いていることと共通しているでしょう。こうした理由で、昔のよしみでAT&T、ネットワークで選んでベライゾン、と言う人が多いようです。
米国で唯一「iPhoneデータ定額」を提供するキャリア
ネックはやはりエリアが狭いこと……
「リーズナブル」という観点では、データ定額をiPhone向けに提供している唯一の「Unlimited」(無制限)キャリアと知られています。Sprintのプランでは、79.99ドルで450分の通話(夜と週末は通話時間にカウントされない)、米国ではまだまだコミュニケーションの要となっているText(SMS)送受信無制限、そしてデータ通信無制限。
筆者の契約しているベライゾンでは、夫婦2台で70ドルの通話プランに入っており、通話時間700分を共有する仕組みになっています(もちろん、そんなに使いきれないのですが)。そしてそれぞれ、2GB月額30ドルのデータプランでiPhoneを使っています。
日本のようなデータ無制限プランはありませんが、3Gでも4GでもiPhoneでは同じ料金でした。通話はとにかく、Textは送受信で20セントずつかかり、時々使うと地味に高いと感じます。
そうした点で、都市の中だけで使うと割り切っていて、自分の行動範囲がSprintのエリアにきちんと入っていれば、お得にiPhoneを利用できるキャリアとして選択もありです。しかしスマートフォンはデータが要であり、せっかくLTEに対応したiPhone 5のスピードを生かせないとなると、ネットワークの拡充が目に見えて分からない限りは、あえて選ばなくても良い会社、という位置づけです。
プリペイドからポスト・ペイへ
ユーザーの客単価を上げたいSprint
これらの話は、「ポスト・ペイ」(後払い)についての話でした。Sprintに限らず、米国ではプリペイドでの利用者も多くいますが、記者会見で紹介されていたとおり、Sprintはスマートフォン、特にiPhoneを武器に、プリペイドユーザーを客単価の高いポストペイのユーザーに変えていくかがポイントになるでしょう。
Sprintには「Boost Mobile」「Virgin Mobile USA」という2つのブランドがあります。端末購入にはお金がかかりますが、非常に安い端末やプリペイドのカードはスーパーやコンビニでも売られています。
2年契約などをしなくても利用できる点で、「MetroPCS」などと並んで留学生にも利用されています。ネガティブなイメージとしては、契約なしで利用できるため不法移民でも簡単に利用できたりする点が指摘できます。
Boost Mobileでユニークなのは、「Daily Unlimited」と呼ばれるプラン。通常の携帯電話やAndroidスマートフォンなどでは1日2ドル、BlackBerryでは1日3ドルで、通話、Text、データ通信が無制限になるものです。またVergin Mobileでは日本のKDDIのように、CDMA2000の3G通信とWiMAX(Verginは4Gと呼んでいる)の両方に対応したAndroidスマートフォンを用意しています。
こうしたSprintの系列事業をどのように変えていくのかが、注目されるところです。
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