中国でもう何年続いているのだろうか。今年も各都市の繁華街で、家電メーカー各社による薄型テレビの値引き合戦が見られる。
人の動きの多いところや、「蘇寧電器」「国美電器」などの家電量販店の前にメーカーが特設テントを置き、テレビ数機種を市価よりも安く販売する。家電メーカーの中でも、特に「Hisense(海信)」「Skyworth(創維)」「Konka(康佳)」「ハイアール」といった中国メーカーが積極的だ。
中国の家電量販店やスーパーの家電売場ではほぼ32型以上しか売られていない(インドなどでは32型未満も売られている)。メーカーの特設会場では、32V型の製品が日本円で1万5000円程度で売られている。
これでもなかなかの安さだが、自作テレビが売られる深セン発の製品では、もはや1万円で32型液晶テレビが買える状況(関連記事)であり、メーカー間、ないしはショップ間の利益の削り合いは続きそうだ。
一方で、中国テレビメーカーの上のモデルを見てみれば、スマートテレビも多い。しかも、各社がただAndroidを導入するのではなく、それなりに味付けをしている。そこで今回は中国スマートテレビについて紹介したい。
中国でもテレビとスマホ/タブレット連携が進む
非常に面白いと思ったのはHisensebが打ち出した、スマートテレビとタブレットのパッケージ「I' tv」の方向性だ(詳しくはこちらの製品紹介ムービーを参照)。
I' TVは専用Android搭載タブレット「M280」または「M281」で見ているネット上の動画コンテンツを、I'tv対応のテレビでも見られるようにしたもの。テレビのリモコン機能も備え、タブレットでチャンネルの変更などが可能だ(正確にいえば、アプリ自身はエアコンやDVDプレーヤーなどにも対応する万能リモコンのようだが、専用テレビしか対応機種がない状況である)。
これに利用する無線方式は、日本でも数製品がリリースされているワイヤレスHDMIではなく、無線LANである。HDMIなどのディスプレーケーブルに繋いでマルチディスプレーを実現するのではなく、リモコンであるタブレットで再生している動画情報をテレビに投げることで、テレビでも同じ動画を再生するというもの。
無線LANを活用したクラウド連携もあり、専用のアプリで画像や音楽や動画ファイルをアップし、テレビでも見られるようにする。日本から中国へのインターネット回線は遅いままだが、中国国内では着々とブロードバンド回線は高速化しているので、家庭内のブロードバンド回線&無線LAN経由によるクラウドサービスも問題ない。
一見すれば似たようなコンセプトの製品は日本でも出ている。例えばシャープの「AQUOS」やパナソニックの「VIERA」、ソニーの「BRAVIA」といったテレビには、スマートフォンやタブレットで表示しているウェブページをフリック操作でテレビに表示する機能がある。仕組み的にはまったく一緒だ。
だが、この機能はあくまでウェブページを対象としたもので、ネット動画を念頭とするものではない。
また、東芝の「REGZA Tablet」はI'TV同様、タブレットをリモコンとして活用できる「RZ番組ナビ」というアプリが利用できる。
しかしREGZA Tabletの場合、ライブで放送されているテレビ番組や録画したコンテンツを、ネット回線を通じてタブレットで映しているというもので、インターネット上のコンテンツをテレビに映すI'TVとは方向性はI'tvと真反対だ。
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