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いい音で音源を楽しむための基本を解説 PCオーディオ入門 第2回

野村ケンジが教えるPCオーディオの基本

佐武宇綺が学ぶ! ヘッドホンとイヤホンのタイプ別の特徴

2012年10月09日 23時00分更新

文● MacPeople編集部、講師●野村ケンジ、生徒●佐武宇綺、写真● 今井宏昭

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パフォーマンスガールズユニット「9nine」(ナイン)のメンバーとして音楽活動もしている佐武宇綺さん(愛称:うっきー)。曲を歌う側の人間として、曲に含まれている音の表現をもっと体感したい! と「オーディオ」女子を目指すことを決意。オーディオについて学ぶべく、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏から、厳しい講義を受けることになりました。第2回は、ヘッドホンとイヤホンについて学びます。それぞれにはいくつかのタイプがあり、その特徴を知ることからスタート。ヘッドホン&イヤホン選びの参考にもなります。

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曲を歌う側の人間として、曲に含まれている音の表現をもっと体感したい! と「オーディオ」女子を目指すことを決意したうっきー。オーディオについて学ぶべく、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏から、厳しい講義を受けることになりました

佐武宇綺がヘッドホンをチェック!

「MONSTER Diamond Tears」試聴中……
佐武 デザインもかわいいし、音もクリアに聞こえますね。それに、遮音性が高いんですよ。だから、みなさんが私に何か話しかけても全然聴こえなかったです。いま、私の悪口言ってましたよね(笑)? いきなり口パクだから何してるんだろう? ってなりましたよ。きょとんとしちゃいました(笑)。

「SHURE SRH1840」試聴中……
佐武 これは、すごくいいです! 音の広がりがあるし、バランスがいい感じがします。付け心地もよくて、柔らかいイヤーパッドが耳を覆うような感じで全然疲れませんね。

野村 まず、ヘッドホンについて、どのような特徴があるのか見ていきましょう。いま聴いていただいた2つのヘッドホンの違いはわかりますか?

佐武 小さいのと大きいの、ですか?

野村 そうです。小さいほうが「オンイヤー」で、耳の上からかぶせるもの。大きいほうが「アラウンドイヤー」で、耳の周りを囲むものです。そしてもうひとつの違いが、「開放型」「密閉型」です。形式的な差はこのくらいです。
 まず、音にかかわるポイントとしては、大きいほうが空間があるので、音を鳴らす空間が使いやすい。できるだけ空間をかせいだほうが音質はよくなるんです。

佐武 なるほど。

野村 ただ、小さいほうがスピーカー部が耳に近いぶん、ダイレクトに音を伝えることができます。

佐武 確かに、そうですね。ガンガンくる感じがしました。それはそれで私は好きな音でしたね。

野村 続いて、開放型と密閉型の違いです。ヘッドホンは、構造的にはスピーカーをそのまま左右に付けているだけなので、特性もスピーカーと同じです。ユニットを動作させるには、前後に空間があったほうが動かしやすいんです。音をさっと出すことができます。

佐武 あ、スピーカーのユニット部を手で押さえると、音がこもっちゃうのと同じですね。

野村 そうですね。だからその動きをスムーズにしたほうがいいんです。

佐武 「トランジェント」ですね!

野村 よく覚えてましたね(笑)。開放型はうしろに空気を逃がしやすいぶん、ユニットの動きもスムーズにできます。それはそのまま音質の向上につながるというわけです。
 一方で、密閉型が優れているのは、やはり音漏れしないことですね。開放型は、聴いている音楽の音が外に出てしまいます。

佐武 え? じゃあ、さっきこれ(SRH1840)で何を聴いてたのかわかりましたか?

野村 もちろん。「星間飛行」ですよね(笑)。もういちど鳴らしてみましょうか?

佐武 あ、ほんとだ! 自分では聴いてたからまったくわからなかったけど、モロわかりじゃないですか!! 電車の中じゃ使えないですね(笑)。

野村 開放型が出てきたとき、スタジオで使い物にならなかったんですよ。マイクが音を拾ってしまうので……。

佐武 確かに。

野村 そこで密閉型が生まれてきたんです。その後、コンシューマー向けでも音漏れしないなほうがいい、となり、密閉型が普及したんです。ただ、開放型のほうが音質は優れているんですよ……。

佐武 開放型のヘッドホンで9nineを聴けば、いい音で聴けるし、ガンガン宣伝にもなるってことですね!

野村 実はスピーカーはユニットが前後に動きますから、前に音を出すと同時に、その反作用でうしろにも逆送の音が出ているんです。だから、音漏れというのは、耳で聴こえている音の逆送の音なので、あまりいい音ではありません。

佐武 あ、じゃあ9nineは聞かせられないですね(笑)。

野村 ヘッドホンは2×2タイプ。「大/小」「密閉/開放」ですね。それを使用目的によって使い分けるといいと思います。音質優先なら大きい開放型、音漏れさせたくないなら小さい密閉型──といった具合です。

イヤホンのタイプをチェック!

野村 イヤホンについては、いまの主流はカナル型ですね。耳栓のようなかたちのものです。iPhoneなどに標準で付属しているインナーイヤー型というものもあります。佐武さんはイヤホンは使いますか?

佐武 時々ですが、使ってます。それもモンスターの製品ですね。

野村 実は、根本をお話ししますと、イヤホンとヘッドホンはまったく違う目的で作られたものなんです。

佐武 そうなんですか!

野村 ヘッドホンはポータブルスピーカーシステムと呼べます。スピーカーを持ち運べるように両耳に付けたと考えてください。一方、イヤホン、特にカナル型は補聴器として使われていました。それぞれが製品として成熟し始めるのは、ウォークマンが出てきてからですね。ヘッドホンもイヤホンも、ウォークマンで使ってもらうべく変わってきたんです。ちなみに、補聴器メーカーさんがオーダーメイドでイヤーモニターを作っていたんですが、それがいまの「シュア」になります。

佐武 なるほど……。歴史があるんですね!

野村 イヤホンの話に戻りますと、音質的には2つタイプがあります。スピーカーと同じ形式のドライバーを採用する「ダイナミック型」と、サイズが小さな特殊な形状のドライバーを採用する「バランスド・アーマチュア(BA)型」です。

佐武 ? ? バランス……? アマチュア……?

野村 難しいですよね(笑)。BA型と呼べばいいと思います。もともとは補聴器メーカーが採用していたドライバーなので、人間の声が聞き取りやすくなっています。

佐武 「ヴォーカル重視なら、BAね」っとか言うとかっこいいですね!

野村 そうですね。そしてイヤホンも2×2タイプです。例えばヘッドホンも組み合わせて、「家でゆっくり聞きたいときは大きな開放型ヘッドホン」「外で聞くときは音漏れも少し気にして、でも密着感がほしいから小さな密閉型ヘッドホン」「電車の中など人の多いところで聞きたいならカナル型でBA型のイヤホン」など、目的別に選べるわけです。

佐武 おお! コーディネーターになれるってことですね! でも、きっとうまくしゃべれない……。

野村 それを少しずつ学んでいけばいいんです。

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