メンテフリーの簡易水冷&空冷キットを試す
各種水枕やラジエーター、ポンプなどを個別に用意する自作水冷なら、ビデオカード向けの水枕は数多くあるが、ラジエーターの設置など難易度は高め。まずは手軽に水冷化でき、汎用性もあるメンテナンスフリー水冷&空冷キットのARCTIC COOLING「Accelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)」を使ってみた。
このAccelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)は、12cmサイズのラジエーターとポンプ内蔵型水枕を組み合わせたGPU冷却を担う水冷ユニットと、メモリーや電源部(VRM)をヒートシンクと8cmファンで冷却する外排気仕様の空冷クーラーユニット(2スロット占有)の2ユニット構造になっている。TDP320Wという高い冷却性能を備え、AMD/NVIDIA製の最新世代から数世代前のGPU搭載ビデオカードに対応しているのが魅力だ。
リファレンス基板のビデオカードを元に設計されているので、オリジナル基板を採用するN680GTX Lightningはサポート外になるのだが、GPU周りのネジ穴の位置が同じなら、いけるのではと思い取り付けに挑戦してみた。
N680GTX Lightningへの取り付けで問題になるのは、基板裏面に搭載する追加基板の「GPU Reactor」だ。Accelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)の水枕は、付属のバックプレートで固定するのだが、そのままではGPU Reactorが干渉してしまう。基板とプレートの間にスペーサーを入れて、GPU Reactor基板との干渉を避けることも考えたのだが、それなりに重量のあるVGAクーラーのTwin Frozr IVも、GPU周りの4本のネジでしか固定されていなかったので、バックプレートなしで水枕を取り付けることにした。
水枕の冷却面がしっかりとGPUコアに接触するように、均等にネジを締めるなどの注意は必要だが、Accelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)付属の固定用ネジで、水枕をしっかり取り付けできた。本来、メモリーや電源部には製品付属のヒートシンクを貼るのだが、N680GTX Lightningは基板を覆うように受熱プレートが取り付けられている。付属のヒートシンクよりも、容量が大きいのでこちらもそのまま使用することにした。
Accelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)を固定したN680GTX Lightningをテスト環境に取り付けて、冷却性能をチェックしたが、ちょっと不安だったGPUコアと水枕との接触は問題ないようで、しっかりGPUの熱を受熱。ベンチマーク実行中のGPUコア温度は空冷時から8度もダウンした58度になった。
熱のこもりやすいPCケースに組み込んだ状態でも、余裕で常用できるだろう。ただ、冷却性能アップによる、さらなるクロックアップは厳しく、空冷限界クロックを超えることはできなかった。
しかし、空冷限界クロック動作時の最大の難点だった騒音問題は解決。ラジエーターと冷却ユニット部にファンを備えるが、ともに静音ファンを採用しており、空冷限界クロックでの動作中も常用にまったく支障のないレベルだった。
クロックの向上こそできなかったが、空冷限界クロックで安心してゲームを長時間プレイできる高い冷却性能と十分常用できる静かさを実現できたので、Accelero Hybrid(ZAV-Accelero Hybrid)への換装は大成功といえるだろう。