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「トイレの通販」で16億円!明朗会計で業界に風穴 (2/3)

2012年10月09日 10時01分更新

文●三浦たまみ

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業界の常識は、世間の非常識

 ケイシス代表取締役の栗原 将氏は1998年に起業した。会社員から経営者として、心機一転、ゼロから仕事をスタートさせようと、縁あって畑違いの住宅設備販売業界に飛び込んだ。だからこそ、旧態依然の業界の常識が非常識に映った。

「設立当初は、水道の修理をメインに手がけ、たくさんのお客さまのお宅にお邪魔しましたが、驚いたのは、“言い値”の料金がまかり通る業界だったこと」

 例えば、ケイシスでは3万円ぐらいでできる仕事が、他の業者では20万円はかかる。それも特別なことではなくザラにあることで、特に1人暮らしの高齢者には、足元を見た高い料金を請求しているケースがよくあったそうだ。

 “言い値”の背景には、中間マージンがかさむことによる料金の不透明さが大きく影響していた。商品はメーカーから、取り次ぎ店、問屋、販売店などいくつも経由して初めて消費者のもとへ届く。工事代金も、出張見積の人件費、外注業者への支払い、下請け職人への支払いなどのコストが発生するため割高になる。そのうえ、工事を依頼した側は、いったい全部でいくらかかるのか、工事が終わるまでまったく見えない。見積で示された金額も適正かどうかは素人では判断できず、「見積のときに隠れて見えなかった部分の費用」として工賃や部材などの追加費用を、“言い値”で支払うしかない人が大勢いたのだ。

「だから、うちは料金を明瞭化し、かつ、ムダな中間マージンを一切省くことで低価格で提供することに力を注ぎました。商品は、メーカーから直接、大量に仕入れることで卸価格並みの値段での販売を実現。工事については、外注に出さずに自社で施工スタッフを抱える体制を整えることで、余計な人件費をかけずに安く提供できるようになりました」

 それから3年後の2001年、栗原氏は、ECサイト『サンリフレプラザ』をオープンした。

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ケイシス株式会社代表取締役栗原将氏は独立のためには営業力が必要だと会社員時代は営業力を磨くことに専念しながら、起業の機会を模索。縁あって水道設備の工事店から始めることになったが、営業だけではなく工事も請け負ってきた。当初のホームページは、自分でいちから作ったものをコツコツと更新、改良を重ねたそうだ

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渋谷にある本社内には、小さなショールームを用意し、「蛇口」「洗面台」「便器」「ウォシュレット」などを展示している。来客も大歓迎。「どんな会社か見てみたい」「担当スタッフと会ってみたい」といった理由でまったくかまわないそうだ。電話で予約しておくと、待たされずに案内してもらえる

会社に入ったところに、『わたしたちの価値観』と『ケイシスイズム』が掲げられている。『わたしたちの価値観』(左)は「K…感動 感動を提供しよう。そして我々も感動しよう。」「S…最高 最高のサービス、最高の技術、最高のチームを追求しよう。」「Y…夢を お客様、従業員、関わる人々の夢を実現する会社になろう。」「S…幸せ 最高にHAPPYに、そのために今、行動しよう。」だ。『ケイシスイズム』(右)は「一、バイタリティをもって仕事に取組むこと」「一、スピードを重視し、期日と目標を決めて取組むこと」「一、問題や困難の時こそチャンスと捉え乗り越えること」「一、常にお客様の視点で考え行動すること」「一、ありがとう!感謝します!ツイている!」とある

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