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もしもツンデレ女子高生がBDを使うことになったら 第4回

お気に入りのビデオをデジタル変換してBDに保存する方法を解説

ツンデレ少女、ついにデレる!? VHS→デジタル変換の基本

2012年10月03日 11時00分更新

文● 藤春都 イラスト●花園あずき

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ついにデレた…?

「これは……?」

 数日後、私が手渡したものを見つめて、赤司は珍しく困惑した顔をした。

「見ての通り、お弁当よ」
「……なぜ僕に?」
「あんた、あの後『独り言にお付き合いいただきどうも』とか言ってすぐに帰っちゃったでしょ。あんたはあくまでそのつもりでもお礼はするわよ」

 いつも家族のぶんの朝食や弁当は作っているから、一人ぶん増えても実はそんなに手間は変わらないんだけど。でもせいぜいたっぷり恩は着せてやらないとね。

「ちゃんと感謝して食べなさいよ!」

 奴の手に包みを押しつけ、私はさっさと踵を返した。顔がちょっと赤かったようにも見えたけど、たぶん気のせいだ。
 そしてほくそ笑む。
 ……ふっふっふ、私がずっとおとなしいと思ったら大間違いよ。学校一のイケメンの地位から、今こそ引きずり下ろしてあげるわ!

*****

「ねえねえ、赤司君の話聞いた?」

 次の日、教室に入るなり友達が話しかけてきた。

「赤司君が昨日なんだか嬉しそうにお弁当食べてたらしいんだけど、それがすっごい可愛いキャラ弁だったんだって!」

 そうでしょうとも、私が作ってやった弁当だもの。いつもクールな奴がお子様向けのアニメの顔がそのまま入っているようなお弁当を食べてたら、ファンの女の子たちは幻滅よね!

 ……むろん、そんなことはおくびにも出さないけど。

「へえ、意外ね」
「だよね! あの赤司君でもそんなの知ってるって、可愛いところもあるんだねー」

 でも、友達はどう見てもどん引きなんてしていなかった。他の女の子にも話を聞いてみたけどほぼ同意見だ。
 ……おかしい、こんなはずじゃなかったのよ。これだからイケメンってやつは!

「これじゃなんで朝から頑張ったの……」
 そして私ははたと気づいた。
 あの弁当がまったく赤司へのダメージになっていないなら、私はただ奴にお弁当作ってあげただけじゃない。私が、こんなにムカついて大嫌いなあの男に!

「う……うわあああああああ」

 私は真っ赤になって机に突っ伏した。
 その顔はたぶん、山ほど入れてやったタコさんウィンナーよりも赤かったと思う。

著者紹介――藤春都

 ライトノベル書き。筑波大学図書館情報専門学群卒。特技は本を腹の上に載せたまま寝ること。企画書を没られたりプロットを没られたり細かな記事を書いたり色々してます。単行本は『ミスティック・ミュージアム』(第二回ノベルジャパン大賞<佳作>受賞作)、『空想/のべりずむ』、『瑠璃色の刃と朱色の絆』(すべてホビージャパンより刊行)。現在、新作準備中。

 ウェブサイトは『Claymore』、Twitterは@fujiharu

イラスト――花園あずき

 ドレスと猫をこよなく愛する漫画家。ペンネームが微妙に変わりました。単行本に『小公女(マンガジュニア名作シリーズ)』(学研教育出版)。最近忙しくて引きこもりがち。

 ブログ『本当は萌える!源氏物語』では、源氏物語の漫画を連載中。twitterは@genjihikaru

~前回のあらすじ~

前回、赤司にアナログとデジタルの違いを教わった葵。「確か…デジタル化したデータの保存には、BDを使った方がいいと赤司は言っていたわ」

「赤司の即席デジタル講座」の後、一緒に後夜祭の花火を見ることに。なんだかとってもいいムード……!?

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