CDでは聞こえなかった音を発見する楽しさ
さっそく「Yes/Fragile」から、「ラウンドアバウト」を聴いてみる。イントロのギターの音色がよりきめ細やかに再現され、響きの余韻がすっと消えていく様子まで鮮明に再現された。
やや細身ですっきりとした再現にはなるが、情報量としてはかなり豊か。ボーカルのニュアンスやエコー感なども鮮やかに再現されるし、厚みのある再現だ。コンパクトであってもさすがはモニタースピーカーだ。
ハイレゾ音源の魅力は決して解像感や情報量だけではないが、こうした情報量の豊かなスピーカーで聴くと、CDでは聴こえなかった音がたくさん発見できるなどハイレゾ音源のよさを満喫できるだろう。
続いて「8人のチェリスト」による「くるみ割り人形」「白鳥の湖」」(HQM STOREで販売中、FLAC88.2kHz 2310円、FLAC176.4kHz 2520円)を聴いてみる。これは、チャイコフスキーの有名な組曲を8人のチェロ奏者がアレンジしたもの。奏者はウィーン交響楽団のメンバーだ。
編曲も見事なものだが、チェロの音色の豊かさに驚かされる演奏だ。そのチェロの艶やかな高音パートは実にデリケートな再現。低音パートはサイズからするとかなりの音域まで自然に伸び、音階なども明瞭だ。弾むようなメロディーが可愛らしい「行進曲」をはじめ、誰もが知る有名な曲を楽しげに再現した。
もちろん、8本のチェロが一斉に音を出したときのダイナミックさはややこぢんまりとしてしまうが、精巧に作られたミニチュアを見ているような、鮮明なステージ感は大きな魅力だ。
USB DACと一口に言ってもいろいろある
このUSB DACも細かく分類していくといくつかの種類がある。まずは、USB DAC機能付きのヘッドフォンアンプ。PCと接続できるものは据え置き型が多いが、オーディオ機器ではなくヘッドフォンと接続してハイレゾ音源を楽しめるもの。
モデルによって異なるが、ラインアウトを備えたモデルならば、アンプなどと接続してオーディオシステムと接続できる。比較的身近な価格のモデルも多いので、挑戦しやすいだろう。
ここで注意したいのは、モデルによって対応するサンプリング周波数が最大96kHzだったり、192kHzだったりと違いがあること。なかには48kHzまでのデジタル信号にしか対応しないものもあるので、このあたりのスペックは購入前にきちんと確認しよう。
さらに、いわゆる単品オーディオとしてのD/AコンバーターにUSB端子を備えたタイプが高級モデルとして存在する。このクラスになると、各社独自のデジタル技術などが豊富に投入されるし、サンプリング周波数192kHzに対応するモデルも多い。なかにはすでにスーパーオーディオCDの記録に使われているのと同じDSD音源の再生にも対応したモデルもある。
細かく挙げていくと、USBから出力された信号を、デジタルのまま光デジタル出力や同軸出力にするD/Dコンバーター(Digital to Digital Converter)などもある。これがあると、USB端子は持たないが、光/同軸デジタル入力を備えたAVアンプがある場合は、比較的ローコストでハイレゾ再生を手持ちのシステムで楽しめるようになる。
ちなみに、ここ数年のAVアンプならば、かなり多くのモデルが光/同軸デジタル入力でのハイレゾ音源の入力が可能。対応状況は機器によって違うので、取扱説明書などで調べてみるといいだろう。
これらの機器を使えば、アナログ変換されたオーディオ信号出力が得られるので、アンプなどと接続して、手持ちのオーディオシステムでの再生が可能だ。もちろん、外部入力を備えていれば、ミニコンポなどでも再生できる。
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