電池はきっちりと余裕で1日過ごせる
iPhone 5は、バッテリーにとっては厳しいアップデートと言える。画面が拡大すれば、単純に消費電力が増えるし、プロセッサーの処理スピードの向上もダイレクトに影響する。そして何よりLTE。これまでAndroid端末でも大容量バッテリーを搭載しながら、処理能力や画面、LTEなどの要因で電池の持ちが心許ない端末は山ほどあった。
筆者の使い方では、iPhone 4Sもかろうじて夜まで持つか持たないかというところだった。iPhone 5で同じ使い方をしていても、きちんと夜まで充電しなくても良くなった点は、とてもありがたい進化だ。30ピンDockケーブルは家にたくさんあるが、Lightningケーブルはまだ付属してきた1本しかなく、枕元のUSBアウトプット付きのタップにさしっぱなしにしておきたい都合もあって……。
ダメな地図と、イケてるナビ
iOS 6の地図については、粛々と改善をしてほしいとただただ願うだけだが、ナビゲーションについては非常に満足がいく使い勝手になっている。
ナビゲーションでは、Siriに自分のアドレスブックのカードを覚え込ませた上で、「自宅に帰る」と言えば、自分のアドレスブックの「自宅」として登録してあるアドレスまでの現在位置からの道案内を開始してくれる。またマップアプリで場所を検索して、自動車マークをタップすればすぐに案内開始だ。
普通のナビ画面は、おおよそ他のアプリの道案内と違わないのだが、違いが出るのは、iPhoneを助手席の人が使っているときと、ロック画面にしたとき。
ナビ中にiPhoneを使っていても、画面上部に表示される通知の領域に道案内が出てくるし、タップすればすぐにナビに戻れる仕組みだ。また、画面をロックして消灯させても、交差点が近づくと点灯して音声で知らせてくれるほか、画面をONにするとロック画面の背景がナビの道案内になっていて気が利いている。
ちなみに米国の道も、日本語の音声でナビできるので、海外旅行に行ったときにもそのまま活用できるだろう。
Verizon向けのiPhone 5はSIMロックフリーだった
最後に、米国のメディアが複数伝えるところによると、筆者が持っているVerizon版のiPhone 5にはSIMロックがかけられていないことが明らかになった。つまり、Verizon版のiPhoneに米国のGMS系キャリアであるAT&TやT-MobileのSIMカードを挿しても使えるし、もちろんソフトバンクやドコモといった日本のW-CDMAを採用しているキャリアのSIMでも利用できることになる。
「ワールドフォン」と言われたiPhone 4Sは、CDMA向けの端末であってもGSM/W-CDMAの電波を利用できる仕様になっていた。CDMA系でローミングエリアが少ないVerizonでは、コールセンターに電話をかけることで、米国外のキャリアに対するSIMロックを解除してくれるサービスもあった。
しかしiPhone 5では、そうした手続きなしに、そして国に関係なく、GSM/W-CDMA系のキャリアのSIMが利用できそうだ。割引価格で購入したり、2年契約満了の前に解約したり機種変更すると、450ドルを余計に払わなければならないが、Verizonで割引で手に入れて、海外でもその国のSIMカードでスムーズに利用できる点はありがたい。
となるとiPhone 5をドコモのXi(LTE Bands 1)で使えるのではないか、という期待もあるが、現状本国(アメリカ)以外では3Gの通信を使うことになってしまうようだ。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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