最後にまとめである。Xperia Tablet Sはよくできている。そつなくまとまっていて、使って損をすることはない製品になっている。
だが「これでなければ」という点に欠ける。ソニー製品との連携がそういう部分になるかもしれないが、そこでタブレットを選ぶ人はまだ少数派だろう。周辺機器や「強い魅力のあるソフト」で選びたいが、そこまでのものはない。オリジナルのSNS連携ソフト「Social Life」なども用意されているが、先行する類似ソフトとの差がまだ見えない。
他方で、スモールアプリや「ゲストモード」が気に入ったならば、選ぶ価値は高まる。「ゲストモード」はアプリの利用制限をかけるもので、簡易的なユーザースイッチ機能ともいえる。ただし、メールアカウントやお気に入りの切り替えができるわけではないので、あくまで「子供に使わせるアプリを決めるだけ」といった簡易的なものだ。こちらは「まあ、あれば使うかもしれないね」という感じのもので、まだまだ洗練が必要と思う。
Androidタブレットとして完成度を上げた一方で、ソニーならではのアプリやサービスはようやく形が見えてきたところだ。それがどこまで期待できるかが、この製品を選ぶ理由になるだろう。
だが逆にいえば、このくらいのことも用意できていないタブレットがほとんどであるのが、Androidタブレットの現状ではあるのだが……。
- お勧めする人
- ・ソニー製品と連携するタブレットを求めている人
- ・実用性の高いタブレットを安価に求めたい人
Xperia Tablet Sの主な仕様 | |
---|---|
CPU | Tegra 3(1.3GHz) |
メモリー | 1GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 9.4型ワイド 1280×800ドット |
ストレージ | 内蔵フラッシュメモリー 16/32/64GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0 |
インターフェース | SDカードスロット(SD/SDHC対応)、マイク/ヘッドホン兼用ジャック |
サイズ | タブレット:幅239.8×奥行き174.4×高さ8.8~11.85mm |
質量 | 約570g |
バッテリー駆動時間 | 約10時間 |
OS | Android 4.0 |
予想実売価格 | SGPT121JP/S 4万円前後、SGPT122JP/S 4万8000円前後、SGPT123JP/S 5万6000円前後 |
発売予定日 | 9月15日 |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)、「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)。最新刊は「漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)。
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