Androidを守るためにMotorolaの特許は使えない?
AppleとGoogleの直接対決は果たして有り得る?
それでも、AppleはHTCなどとも訴訟を繰り広げており、攻撃の標的がSamsungというよりAndroidであることは明確に思われる(故Steve Jobs氏が「Androidは盗作」などと述べていたことが広く伝えられている)。そういったことから、先の評決の勝利を受けてAppleが他のAndroidメーカーへの攻撃を強めると見る向きも多い。
そこで気になるのが、Motorolaの特許がAndroidエコシステムを守れるかどうかだ。GoogleはMotorolaとともに約1万7000件の特許を獲得したが、その中にはFRAND特許とよばれる基本的な技術特許が多く含まれている。
FRAND条項の1つとして、非差別的(Non-Discriminatory)があり、公平にライセンスしなければならない。FRAND特許が特許訴訟や特許クロスライセンスでどのぐらい強みとなるのか、Googleが誤算していたことになれば、買収の目的(の1つ)は遠くなりそうだ。なおMotorolaは8月中旬、Google買収後初めてAppleを提訴している。
では、今後AppleとGoogleの直接対決の可能性はあるのだろうか? GoogleはAndroidを無償で提供しており、Androidからは基本的に直接の売上をあげていないこと、お互いの利害関係などの背景がある。
またGoogleにしてみれば、iPhoneから得ているトラフィックは重要であり、Appleとしては、Googleの人気サービスの提供がユーザー満足につながるという事情だ。だが、Appleは一部でGoogle Mapsの代わりにOpenStreetMapの地図データを利用するなど、Google離れの動きもみられる。2社の関係がどうなるのかは、今後注目となる。
iPhoneに先んじて大々的な製品発表会を開催
Motorolaは復活するのか?
さて、製品面ではMotorolaは今週にもニューヨークでVerizonと共同でのプレスイベントを行う予定だ。実はこのイベント、ニューヨークという場所、日程ともに、以前からうわさがあったNokia/Microsoftにぶつかる格好となる。その後のイギリスでのイベントではIntelの名もあり、Intelチップを搭載した初のスマホが登場するようだ。
Motorola買収発表はGoogleにとって最大規模のもので、CEO就任間もなかったPage氏が自身の手腕を示す目的もあるように見える。Motorola買収の成否が、Page時代のGoogleの評価を分けることになるかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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