ロボット掃除機6台が激突!
ロボット掃除機はハウスメイドの夢を見るか? 徹底的に検証した
2012年08月29日 15時00分更新
8畳間のタイムアタックは43分と早め
2mの区画を走行させて、どのぐらいキレイに掃除できるかをチェックしたが、次は実際にイスやテーブルが置いてある部屋をどのぐらいの時間で掃除できるのかを調べてみた。
実際に掃除させた部屋は、次の写真の通りだ。
この間取りはDKとなっているが、キッチンに入りこんでしまうとカメラで撮影できなくなるため、通路をふさいでおよそ8畳のダイニングだけに仕切ってある。
では実際に部屋を掃除している様子を、30倍速にしたムービーで見てもらおう。
清掃タイムアタック! 8畳の部屋掃除にかかった時間は43分
画面左上に時刻を打ち込むようにして1秒間隔で撮影した結果、ルンバが掃除にかかった時間は43分。一般的なロボット掃除機の多くはだいたい60分程度かかるので、割と早めといったところだろう。
このムービーで分かるのは、軽い家具などはルンバが当たると少し動いてしまう点だ。ムービーの手前に写っているイスが微妙に動いているが分かる。
運転音はそれなりだが、タイマーをセットして
昼間に掃除すれば問題なし
ホースを手に持って掃除する一般的な掃除機のトレンドは、今や吸引力の勝負から静音性の勝負になってきている。これは「集合住宅などで夜中しか掃除する時間がない」という人が増えているためで、多くのASCII.jp読者もそうだろう。しかし、ロボット掃除機にはさほど静音性を求める必要はない。なぜならタイマーをセットしておけば、会社や学校に行っている昼間に自動的に掃除をしてくれるからだ。夜に掃除をする必要性がないので、運転音が静かである必要性もないということだ。
したがって、自分が部屋でくつろいでいるときに、ロボット掃除機を動かすのはナンセンス。運転音がいくら静かでも映画などを見ている邪魔になるばかりでなく、ロボット掃除機にとっても部屋の真ん中にどっしり座っている人間様はかなり邪魔だ(笑)。
唯一考えられるのは、タイマーをセットし忘れて、寝室で寝ている間にダイニングを掃除をさせたいときぐらいだろう。また、赤ちゃんがいる家庭は静音性を気にするかもしれない。ただ、自分たちが赤ん坊の時代に静かな掃除機なんてなかったことろ考えると、それも気にする必要もないのかもしれない。
とはいえ、とくに女性は音を気にするらしいので(まぁ女性読者のファンも欲しいわけですよ。オレが・笑)、運転音も調べてみたところおよそ45dBとなった。
※ご注意 運転音の測定は、掃除機からおよそ1m離れた場所で測定していますが、JIS規格に沿った方法ではありません。したがってメーカー公表値と大きなさがある場合があります。また測定に際しては、実際に動いている掃除機を測定しているため、フローリングに反響した走行音も含まれます。
フローリングの走行音は、非常に反響しやすいため、畳やカーペットなどの床では運転音が大きく下がります。
試しに10年前の一般的な掃除機の運転音を調べたところ、強運転で60dBあった。したがってルンバは一般的な掃除機比べると、かなり静かと言える。一方、どんな周波数帯の音が出ているかを調べたのが次のグラフだ。
グラフの横軸は左から低い周波数(20Hz)で、右が高い音(20kHz)となっており、人間の耳が聞き取れる可聴範囲となっている。縦軸は音の大きさを示している。ピークは800Hzあたりと、1kHz~2kHzに3つ見られるが一番左のピークは、バンパーセンサーが家具にぶつかった衝撃音だ。1kHz~2kHzはバキュームポンプの音と走行用モーターの音である。
もしフスマ1枚で隔てられた寝室で寝ていて、となりの部屋を掃除していると、常に音を発するポンプと走行音はそれほど気にならないが、不定期に発する家具への衝突音が気になるだろう。
ゴミを溜めすぎると本体から
ダストビンを外すときこぼれることも
次はゴミを溜めおくダストビンについて見てみよう。ゴミを遠心分離するサイクロン掃除を除けば、ダストビンからゴミが逆流しないように、仕切りの弁やシャッターが設けられていることがほとんどだ。しかし、ルンバにはそれがない。写真のようにフタというより仕切りのバーがついているだけなので、ゴミをたくさん溜めてしまうと本体からダストビンを外したときに、上部からこぼれ落ちてしまうことがある。
これを避けるには、ダストビンが満杯というサインが出る前にこまめにゴミを捨てる必要がありそうだ。
またダストビンには、バキュームポンプのモーターがついているため水洗いできない。掃除機のダストビンを水洗いするというのは、世界の中でも日本ぐらいだという。国内メーカー製はロボット掃除機に限らずほとんどの製品が水洗いできるが、海外製の掃除機は「ダストビンを洗う」という風習がないのでいたしかたない。
また近年注目されているのが、掃除機の出す空気のクリーンさだ。ポンプで吸い込んだ空気はどこかに排出しなければならないので、各社工夫を凝らしている部分だが、筆者が見たところHEPAという家庭用では最高位(目が細かい)に近いフィルターを採用しているようだ。また排気は掃除を終えキレイになった後方に吹き出すようになっているので、ゴミの巻き上げも少なくなるように工夫している。
階段からの落下に重点を置いたセンサー配置
ロボット掃除機で最も重要になるのが、壁や家具、階段などの段差から落ちないように身を守るセンサー、そしてブラシや駆動輪に何かがからまり回転が止まってしまったことを検知するセンサー類だ。
ルンバに搭載されているセンサー類を筆者が独自に調べたのが、次の一覧となっている。これはメーカー公表のものではなく、赤外線センサーなどはビデオカメラで撮影した映像(赤外線は目に見えないがカメラで撮影すると可視化できる)から、また資料や動作などからセンサーを持っていると思われる筆者の予測も入っている点に注意して欲しい。
iRobot ルンバ780 | |
---|---|
ダストビンFULLセンサー | あり |
壁センサー | 赤外線×6/バンパー (機械式スイッチ) |
階段センサー | 赤外線×6 |
巻き込み防止センサー | あり |
走行不能センサー | あり |
床ゴミセンサー | あり |
空間マッピング | なし |
速度制御 | あり |
ジャイロセンサー | なし |
家具などを検出する赤外線センサーは、ほぼ標準的な数の6個と言えるだろう。特筆すべきは、階段からの落下防止に力を入れている点だ。通常のロボット掃除機はたいてい3個のセンサーで済ませているが、ルンバは計6個のセンサーを搭載して階段からの落下を防止している。これはルンバに限った話ではないが、次のような場合はセンサーが誤動作する場合もあるので、購入して間もない頃は、階段付近の掃除は見張っていることをオススメする。
- 階段の色(踏み面)が黒い
赤外線が反射しずらいので段差を見分けにくい。 - 階段に直射日光が当たる
太陽光が踏み面に反射して赤外線センサーが誤動作する。 - センサーが汚れている
赤外線を発光また受光できなくなり誤動作する。
気になったのは、6個の壁センサーを持っているわりに、バンパーセンサーが家具によく当たるという点。おそらくこれは、部屋の隅々まで掃除するために、家具スレスレまで近づき掃除をするためと思われる。その証拠に、家具や壁などに近づくとルンバは速度を落とし、ゆっくりと近づく動きを見せてくれる。
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