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冨田勲コラボ、初音ミクは「指揮に合わせ歌う」新技術で登場

2012年08月28日 12時00分更新

文● 四本淑三

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初音ミクのライブを直立不動で見ていた冨田勲氏

 我々がVOCALOIDとの共演と聞いてただちに想像するのは、過去の様々なライブイベントでおなじみになった、あの3DCGのプロジェクションイメージだろう。透過光を反射するディラッドスクリーンのようなフィルムに、複数台のプロジェクターでイメージを投影するあの方法だ。どんな方法になるかは別として、初音ミクの出演部分はクリプトン・フューチャー・メディアが担当する。

「初音ミク」開発元、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤代表。今回、初音ミク登場シーンの技術面はクリプトン社が手がける

「従来はCGに人間が合わせた。今度は初音ミクが演奏に合わせて歌う」

 「できる、できないという問題は置いておいてですね、これはやるべきだろうと感じました。冨田先生からお話を頂いた、ちょうど次の日に初音ミクのコンサートがあったんですけれども(3月8日、TOKYO DOME CITY HALLにて開催された「ミクの日大感謝祭」)、冨田先生にもいらしていただきました。お座りになったらどうですかとお勧めしたしたんですが、ずっと立って舞台を見つめていらっしゃったのが非常に印象的でした。

 技術的な話をしますと、従来のコンサートはあらかじめCGで作った映像に、人間が合わせるという形で実現していました。今回は初音ミクが演奏に合わせて歌う。ビジュアル的なモーションもそこで同期させて登場させる予定なんですけど、モーションも演奏に合わせて踊るとか、歌うということをしなければいけなくて。これはかなり技術的なハードルが高く、完全にはシステムは完成していません。ただめどは立っておりますし、実験を通じて作り込んでいければと思っています。技術的に野心的な試みでもありますので、そういう技術を試すには絶好の機会だと感じております」(伊藤氏)

指揮者はクリックをどうやって拾う?
ディラット(透明)ボードはステージに置けるの?

 今までの初音ミクのコンサートでは、映像のクリック音をモニターしながらバンドが演奏するという体裁だった。しかし、オーケストラの場合、ステージ上にモニタースピーカーも設置できなければ、指揮者にイヤーモニターでクリックを聴かせるのも難しい。では、オーケストラに合わせて初音ミクが歌い、踊るにはどんな方法があるのだろう?

 会見では触れられなかったが、ビジュアルがどのような形でコンサートに現れるかも謎である。ステージ上は大勢の奏者で埋め尽くされており、プロジェクターを並べるスペースはないはずだ。またオーケストラと観客の間に、音を遮蔽するアクリルの板のようなものは立てられない。要するにステージ上に3DCGのイメージを投影する場所はないのである。では果たしてどのような共演になるのか? 3DCGのプロジェクション以外に何か方法があるのだろうか?

「ミクの日感謝祭 39's Giving Day」より。今回、初音ミクがどんな技術で「出演」するのかはいまだ謎のままだ

 どのような共演の形になるにせよ、クラシックのコンサートとしては前代未聞のスタイルになるのは間違いない。一体、初音ミクはどのような形で登場し、共演を果たすのか。それは11月23日までのお楽しみということになるが、我々は今日の会見に先行し、冨田勲先生御本人と、クリプトン・フューチャー・メディア代表の伊藤博之さんに、このコンサートについて単独取材を行なっている。とりあえずは、その記事の公開をお楽しみに。そしてチケットの購入はお早めに。

冨田勲新制作『イーハトーヴ』交響曲 世界初演公演

開催日時:
2012年11月23日(金・祝) 午後2時30分
会場:
東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)
チケット:
S:8500円 A:7500円 B:6500円
Sペア券:1万5000円[全席指定/消費税込]

問い合わせ先:
日本フィル・サービスセンター:03-5378-5911(平日10時~17時)
東京オペラシティチケットセンター:03-5353-9999(10時~18時)
チケットぴあ:0570-02-9999[P:173-745]
http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1227743


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