伝説の影絵アニメを再現――ただし、アスキーアートで
「Bad AApple!!」(作者:6666AAPさん)
2010年8月20日投稿。元ネタは、同人ゲーム「東方Project」のキャラが次々と登場する影絵「【東方】Bad Apple!! PV【影絵】」。2009年10月に投稿されて瞬く間に人気を博して、現在でもニコ動通算でトップとなる1514万再生を誇っている。この元ネタを、AAキャラで再現したのが「Bad AApple!!」になる。
やる夫に八頭身モナー、ジョルジュ長岡、荒巻スカルチノフなど、コアな2ちゃんねらーなら知ってて当然のキャラがモーフィングして次々と現れる。元ネタのリスペクトにキャラの2ちゃんねるルオールスター感が重なって、見終わる頃には謎の感動を覚えるはず。色は白黒とシンプルだが、モーションで想像以上に手間がかかっている根性の一作だ。
東方Projectで一世を風靡した有名動画がまさかのMMD化……ってキャラが何か違うかも!? |
Interview with 6666AAP(2回目)――
「MMDという場を愛し、力を高め合う環境であってほしい」
── 考えてみればMMD杯で2回優勝されているのは、6666AAPさんだけです。この動画のコンセプトは?
第4回へのあてつけです(笑)。MMD杯は結局のところ人気投票なので、「頑張った要素」と結果がそれほどリンクしないことも往々にしてあるんです。少なくとも第4回ではそれができず、再生数においても勝負すらさせてもらえなかった。ちょっとカチンと来たんですが、そもそも「伸びない題材を選んでおいて見てくれないと憤るのは筋が通らない」と思い直して、フルスイングしたのが第5回です。
── 杯に出るからには優勝をとりたいという?
6666AAP どちらかというと新しい時代、映像美を追求した動画への反骨の方が大きかったです。「モーション頑張っても仕方ないのかなぁ。じゃあエフェクト勉強するか……。でも、やられっぱなしでは握手できない」みたいな。今は握手してますよ。エフェクト楽しいです(笑)。
── 動画でこだわった点は?
知恵と工夫です。当時はMMEを初めとする周辺ツールがなく、「MMDでは無理」って表現も多かった。それをあの手この手でどうにかするのが面白い。「MMD力」の追求ですかね。「Bad Apple!!」って、MMDからすれば謎の技術の塊みたいな動画なんですが、このネタをMMDでやり切ることで「MMDでもここまでできる」を示したかった。
根本にあるのは「MMDという場を愛し、MMD力を高めあう環境であってほしい」という気持ちです。第4回も「もっとモーションにこだわる人が増えてほしい、そのためにはモーションで勝つ」と思ってました。結果ふるいませんでしたが。
── そこまでこだわりがあって、プロになりたいという気持ちは?
ニコ動で「プロごっこ」ができていれば今は十分かな……。もとよりこの作業は好きではないんです(笑)。できあがったときが幸せなだけで、残り9割は苦行。楽しいわけがない。
── 何がモチベーションなんですか?
みんなに楽しんでもらう、楽しい人だと思われる、あたりなのかな。あとはできるならやるべきだろうと。他の人がやりたくてできないことなら特に。今後はモーションの配布とかに注力していきたいですね。単なるモーションの流し込みには思うところがあったんですが、配布に工夫すればみんなもっとモーションに触ってくれるんじゃないかなって。多段ボーンの普及にもつとめたいです。
6666AAPさんのお気に入りMMD その3 「走るチルノ」
元ネタの印象そのままに、MMDならではの3次元要素を加えたホラーネタ。笑わせたり、感動させたり、人の心を揺さぶるのはなかなか骨が折れますが恐怖方面へ訴える動画はとても珍しい。 |
6666AAPさんのお気に入りMMD その4
「めだまやき」
同じネタを狙って重ねる「天丼」の極地。同じ映像、同じ音声でタワーブリッジが3回続くところとか「MAD臭」がしますよね。タワーブリッジを使うために強引に展開を持っていくし、唐突に舞台が宇宙に行ってなぜか地球が爆破される。そこでめだまやきの伏線回収。はたしてこの映像を作るために、3Dソフトに何万も出して勉強するのかと考えると、MMDがなければ生まれてこない映像ですよね。 |
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