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あいつら、未来に生きてるぜ!MMDの魅力を徹底解説 第3回

絶対見るべきMMD傑作選 クオリティーはもうプロ超え!?

2012年09月01日 12時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3) 協力● kawara(@kawaraSAN

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「八頭身」「1さん」が舞い踊る、壮絶なるオッサンホイホイ
「夢の中へ」(作者:6666AAPさん)

 2009年8月14日投稿。その昔、Flashアニメーションが2ちゃんねるで流行した時代に投稿されたFlash「夢の中へ」へのオマージュとなっている。「八頭身モナー」や「1さん」など、文字で絵を描いた「アスキーアート」(AA)のキャラクターがところ狭しと動き回り、2ちゃんねるで有名なネタを再現してくれるというまさにオッサンホイホイな作品だ。

 AAもさることながら、動きの気持ち悪さ(失礼!)を忠実に再現した点にただただ驚くばかり。初期ニコ動は、とりもなおさず2ちゃんねるの文化を引き継いでおり、DTM板からボーカロイド、カラオケ板から歌ってみた、Flash板からMAD動画と活躍の場を移している人も多い。そうした2ちゃんねるとニコ動を結びつける証を残した歴史的作品といえる。

2ちゃんねらーにはおなじみ「八頭身」が暴れまくる作品です。

Interview with 6666AAP――
「MMDを作る前はAA職人でした」


── この作品でやりたかったことは?

作ったモブキャラ(群衆キャラ)のお披露目です。もともとAAを作っていたこともあって、AAで有名な「八頭身モナー」がMMDで使いたかった。スタッフ役やカメラマン、その他主役級ではできない面々で、そこそこ知名度と存在感ある、かつ私がなじみのあるキャラとなると、どうしてもAAになってしまうんです。

── どんなAAを作られていたんですか?

モナー系、顔文字系、長編……全部やりました。この動画の冒頭に出てくるミクも作ってます。MMDを作るようになっても、当時のネタの考え方や創作そのものの手法がいまだに生きています。「この文字は1ドット左がいい」と、延々くり返す作業なので。

AA版初音ミク

── AAに燃やしていた情熱がなぜMMDに?

最初はMMDで「ミクのAA教室」をやろうとしたんです。それであれこれいじってるうちに「アクセサリーって動かせないのかな?」と思って試したら、投げるアニメーションができた。当時、ジャグリングの動画を誰もやってなかったので、「これ最初にやったらなんか面白くね」と思って「MMDでジャグリング」を作ったのが過ちの始まりです。

ジャグリングもMMDのために勉強したんですよ(笑)。3ボールカスケード(3つのボールを回す基本技)が1000キャッチできるくらいまではやったかな。目線は上、重力加速度は思ったよりゆっくりというのが分かりました。

「MMDでジャグリング」

── MMDはいつ知りました?

確か紹介動画を初日(2008年2月24日)に見てダウンロードしましたが、歩きモーションができなくてしばらく投げてました。もともと2004年頃から3Dポーズツールの「MIKOTO」で3DCGに触れて、「Metasequoia」もちょっと触れていた感じです。

── ジャグリング動画で反響を得て、面白いと思い、ハマっていった。

そうですね。反響はとても大きかった。2ちゃんねるにAAを投稿しても、コメントなしが当時は普通でしたから。だから「無数のコメントを引き出す」という機能を獲得したニコ動は奇跡の発明だと思います。

── 「夢の中へ」でこだわった点というと?

八頭身モナーの顔かな。私たちは顔の全角カッコが半角になっただけで突っ込みを入れる人種なので、3D化するにあたってAAの印象を極力再現しようと努力しました。

「夢の中へ」。八頭身モナーが気持ち悪いがなじんでいる

ミクの世界に八頭身モナーを登場させる点にも気を遣ってます。当時はMMD用のモデリングツール「PMDエディタ」が普及しはじめたころで、まだMMDはミク色の強いツールでした。そこに八頭身モナーが登場するために、「ボカロとの遭遇」という位置づけにしたかったのが「夢の中へ」。これ以降なら、八頭身モナーをまた絡ませても大丈夫なんじゃないかと。シナリオもそういう意図で組み立ててます。


6666AAPさんのお気に入りMMD その1
「洗濯機に綿の奥まで洗われる時の洗濯物の動き」

「MMDがなければこの世に具現化し得なかった発想」が好き。あとは頑張れば初心者でも作れるところですね。絵が描けなくても、3Dが作れなくても、発想と少しの根気があれば3DCGができてしまう。根暗な機械弄り少年でもガンダムに乗せられたらエースパイロットになるかもしれないみたいな感じです。

6666AAPさんのお気に入りMMD その2
「初音ミク育成キット」

アクセサリが10個とかしか使えなかった時代。ダミーボーンも無かったかも。縛りがきついほど発想のたがが緩むのかもしれません。警戒するミクの声や打ち解けた後のコメの「サーセンww」弾幕が楽しい。

■6666AAPさん マシン環境&使用ソフト

CPU:Core i7 2600K、メモリー:16GB、グラフィック:WinFast GTX580(3GB)、OS:Windows 7 Ultimate
ソフト:MMD、PMDエディタ、Metasequoia、MMD Motion filter/VMD Reduction tool(ともにKinectのモーションキャプチャ用)、AviUtl、REAPERなど

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