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押井守監督も配信、ニコニコで記事が売れる「ブロマガ」

2012年08月21日 21時07分更新

文● ASCII.jp編集部

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ブログ/メルマガ/電子書籍の形で閲覧できる
ePubでダウンロードも可能

 21日、ドワンゴがブログとメールマガジンを組み合わせたような記事配信サービス「ブロマガ」を開始した。記事の価格は配信者が自由に設定する。配信者は価格の30%を配信手数料としてドワンゴに支払い、70%を受け取れる。読者は記事をePubでダウンロードして、iPhone/iPad上のiBooksで閲覧することもできる。

ブロマガはブログ/電子書籍/メルマガの3媒体を兼ねた新しい媒体

ポイントは課金ができること。無料で雑誌のように公開していき、書籍化して販売するような展開も想定している

 ブロマガはニコニコ動画の「チャンネル」機能の拡充という位置づけ。ドワンゴ取締役・夏野剛氏いわく、チャンネルは「iモードの公式コンテンツのようなしっかりとしたもの」。今までは動画/生放送と映像だけを扱っていたが、そこに「記事」という枠を作った。

 具体的にはチャンネル内にブログを表示し、電子書籍の形でも表示できるようにする。有料・無料の線引きは「ここから有料」といった形で区切ることも可能。更新したタイミングで、メールマガジンの形でメールとして送ることもできる。

記事単位で無料・有料が指定可能。「ここまで無料」の指定もできる

記事をePubでダウンロードすることもできる。通常のメルマガとしても配信可能

 「これまでインターネットで発信される『記事』は、メディアから発信するマスメディアと、個人が発信するソーシャルメディアの2つに分かれていた。個人の趣味でもなく法人が出しているわけでもない、その中間にいるようなメディアとして展開していく」(夏野剛氏)


初回は76チャンネルで展開
筆者は津田さん、ホリエモン、デヴィ夫人、押井守監督――

 ブロマガは初め76チャンネルを配信。著者は、津田大介氏、堀江貴史氏といったIT関係者から、GACKTさん、デヴィ夫人、田原総一郎氏などテレビの顔、またアニメ監督の押井守氏、政治家の小沢一郎氏・田中康夫氏といったメンバーを集めた。

 カルチャー方面からはサックス奏者の菊地成孔氏、HEADZ主宰の佐々木敦氏など。ニコニコらしいところでは、東方系バンド・石鹸屋、ブログ「俺的ゲーム速報@刃」管理人なども参加する。今後はニコニコユーザーにもブロマガを開放していきたいという。

デヴィ夫人「アメブロでは言えない話」、堀江貴文氏「堀江貴文のブログでは言えない話」、押井守監督「世界の半分を怒らせる」など、刺激的なラインナップ

菊地成孔氏、佐々木敦氏など文科系のメンバーも集めた。家入一真さんやヨシナガさんなども

 ブロマガに参加する押井守監督は「いまのメディアでは遅い」「フィルターがかかっている」とした上で、「雑誌に書きにくいこと、本にしにくいこと」「不都合な部分がちょっとずつあるようなこと」をブロマガ上に書いていきたいと話した。

押井守監督。「本当のことを言うと世界の半分を怒らせる」をモットーに書いていくという

週刊アスキーも配信。読んでね!(ステマ)


「自由であること」「タブーがないこと」
“購読”の枠内で表現を自由に試せるプラットフォームに

 記者会見にも顔を見せた田中康夫氏は、プライベートをあけすけに書いた『東京ペログリ日記』(1994年)の著者。同著は「元祖(ブログ)のようなもの」であり、「女性の口説き方以外はすべて(田中氏の著作に)教わった」と夏野氏は言う。

田中康夫氏。「東京ペログリ日記」(1994年)は、かつて「噂の真相」誌に連載していたプライベートな文章。ブログのようにあけすけでスキャンダラスな内容が話題を呼んだ

 「言わないでストレスためているよりは、ぎゃあぎゃあ言われてもそれと対峙する方がストレスたまんないなと」(田中康夫氏)

 田中氏はもともと「全部見せちゃうタイプだった」といい、ニコニコ動画のユーザーから、自分を超えるような才能があらわれることに期待しているとも語る。夏野氏はそんなブロマガの自由さを強調し、次のように表現する。

 「これまでタブーとされていたような表現も、どこまで通用するか(購読者を相手に)シミュレーションする場として使ってもらえれば。先鋭的に考えていることをここで議論するようなプラットフォームにできれば」(夏野剛氏)

 ブロマガを含め、チャンネル機能は、ニコニコ動画で「Web配信はお金にできるのか?」を実験するための場所だ。そこで動いているのは、配信者が、売りたいときに売りたいものを売る、いわばコンテンツの巨大な無人販売所のようなシステム。自らが市場調整機能を担い、「デマ」や「炎上」を避けて「優良なコンテンツ」を販売してきた出版社やテレビ局とは反対に、チャンネルでは売る側も買う側も自己責任。ブロマガで、いったい誰がどんなコンテンツを読むのかは、メディアのグレート・リセットが向かう先を占う上でも、大きな意味を持ちそうだ。


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