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富士見iPhoneクラブ 第52回

鬼難度のパズルアプリ「The宝箱」にもはや哲学を感じる

2012年08月22日 12時00分更新

文● 富士見iPhoneクラブ製作委員会

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富士見iPhoneクラブのメンバーが、自分がお気に入りのiPhoneアプリを紹介する水曜日。ゆるふわ&腹黒なメンバーが、毎回役立つ(?)アプリをピックアップしていくぞ。

The Treasure Box App
価格85円 作者YamaTatsu
バージョン1.0 ファイル容量57.4 MB
カテゴリーゲーム ユーザーの評価(4.0)
対応デバイス全機種 対応OSiOS 4.0以降

ルールは激烈にシンプル、「宝箱を開ける」だけ

限りなくシンプルに、しかし思考の限界に挑む「The 宝箱」

 人間誰しも一獲千金を夢見ることはあるものだ。だが、日頃さほど高くもない給料で勤労に明け暮れ、帰りの電車でiPhoneに手を伸ばし、Twitterに同志たちの姿を見ながら、「やっぱりみんなと同じって落ち着く!」などと自分を慰めていると、夢はいつかただの夢と消えてしまう。

 そんなごく小市民的なiPhoneクラブメンバーに、一獲千金の夢を叶える難しさと喜びを教えてくれる素晴らしいアプリがあった。「The 宝箱」だ。

 The 宝箱は実にシンプルなパズルアプリで、その名の通り、ステージごとに用意された宝箱を開けて、宝物をゲットしていくだけ。10レベル6ステージ、合計60ステージを攻略していく。宝箱には「上下にスワイプする」「本体をシェイクする」など、iPhoneを使った様々な仕掛けが施されており、頭をひねってその仕掛けを解いていくことになる。

宝箱の仕掛けを解いて、宝物をゲットしていくだけのシンプルなアプリ

コレクションが一覧できるので、男子の収集欲はとめどなく加熱・膨張していく

大気圏を超えて上がりつづける難易度
iPhoneにできることを徹底的に探り出せ

 アプリの真骨頂は、突如として上がりはじめる難度だ。レベル1~2はスイスイと進み、こんなものかと思っていると、レベル3に上がった途端、図形パズルあり、計算問題あり、図形パズルと加速度センサーを組み合わせたスイッチあり……と、iPhoneで考えられるすべての技術を駆使した、情け容赦ない難問が襲いかかってくる。

 「後半のステージをクリアして、アイテムを入手していないと解けない」というステージもあり、当然のようにそんなヒントは書かれていない。

 与えられるヒントはきわめて少なく、抽象的だ。iPhoneに何ができるか、どの視点からiPhoneをとらえればいいのか、そもそもヒントが何を意味しているのか……。iPhoneを叩き、長押しし、振り、回転させ、ありとあらゆる可能性を試していくうち、ふとした瞬間、パッと答えがひらめいた途端、宝箱がゆっくりと開いていき、中から黄金色の財宝があらわれてくる。その達成感たるや、恍惚たるものがある。

問題の一例。パッと見て何をすればいいのか分かる例がどんどんなくなっていく

カレンダーを使ったもの、加速度センサーを使ったもの、時計機能を使ったもの、「iPhoneで何ができたんだっけ」「iPhoneの何を求められてるんだ」「そもそもiPhoneって何だったっけ」と果てしなく考えさせられる問題が続く

 問題は「考えつづければ分かる」ものではなく、「試さなければ解けない」が、このゲームの哲学。問題の作成者と素手で殴り合っているような気分にさせられるが、ものを発見するということ、何かを解決し、夢を叶えるとはそういうことではなかったか。

 「日々の仕事を淡々とこなし、いつか夢が叶うそのときを待つのではなく、難問に1対1でぶつかって、自分に想像できるすべてを試してみろ」――鬼のような難易度からそんなメッセージを感じた方も、あるいはいるのではないかと本気で思わされる名作アプリだ。


このアプリをオススメする覆面:ニッシーさん

 あわただしい毎日、つい仕事は「こなす」ものと思ってしまいがち。本当は、自分の想像力を振りしぼり、あらゆる可能性を試していくことが仕事の醍醐味のはずだ。そんな想像力をふるい起こさせる、脳の特訓のようなこのアプリ。社会人必携と言ってもいいと思っている。ただ電車内でやるのが恥ずかしいのと、解けないと本気でイライラしてしまうのが何なのだが……

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