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時代と共に成長する「DataONTAP」大解剖 第1回

真夏の勉強会でネットアップに詳しくなる

未来を見通してた?Data ONTAP WAFLのこだわりを解剖

2012年08月08日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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8月7日、ネットアップは同社のストレージ製品のソフトウェアである「Data ONTAP」の勉強会を開催した。第1回は、DataONTAPの根幹を支えるファイルシステムである「WAFL」についてのアーキテクチャや応用技術などが詳細に解説された。

テトリスのようにブロックを揃えて書き込むWAFL

 Data ONTAPは、同社の主力製品であるFASシリーズにおいてエントリモデルからハイエンドモデルまで共通に搭載されている基盤ソフトウェア。効率的なI/Oやデータ保護を実現しつつ、複数の物理ディスクを論理的に束ね、仮想化することで、効率的なデータ管理を実現している。勉強会の講師を務めたネットアップ ソリューションSE部部長 河西学氏は、「創立から20年経つ弊社において、Data ONTAPはつねにわれわれの技術の根幹にある。しかも20年経っても、最先端に立っている」とアピール。Data ONTAP開発の背景にある技術トレンドや思想についての説明からスタートした。

 Data ONTAPが生まれたテクノロジー面での背景としては、CPU性能やメモリ容量が2~3年ごとに倍になるのに対し、ディスクパフォーマンスは20年で約4倍程度とほとんど進化していないという点が挙げられる。しかもHDD容量が増えているのに、回転数は変わらないため、I/O性能はきわめて悪い。

背景となるテクノロジー・トレンド

 この「遅いメディアとどう戦うか」という課題に題し、ネットアップの創業者たちが考えたのが、「ディスクパフォーマンスを引き出すことにCPUとメモリを使うべき」「読み出しの負荷はメモリの増加・追加で低減」「書き込みはメモリで吸収できないので、ファイルシステムで最適化されるべき」という3つのコンセプトだ。この結果として生まれたのが、ストレージに特化した専用OSであるData ONTAP、そしてディスクのパフォーマンスを最大限に引き出すために考えられたWAFLになる。

 WAFL(Write Anywhere File Layout)は、ディスクへの書き込み負荷を極限まで減らすため、ランダムな書き込みをシーケンシャル化するという役割を持つ。具体的には、クライアントから書き込みを要求されたデータを不揮発メモリに溜め、この段階で書き込みの完了を示すACKをクライアントに返してしまう。一方、NVRAMに溜められたデータはブロック配置を最適化したのち、ディスクに書き込まれる。つまり、「テトリスのように同じ色のブロックでまとまるまで」待ってから、書き込まれるわけだ。

NVRAMでの動作

 この一手間をかけた書き込み処理を行なうことで、WAFLではデータを効率よく配置し、シーケンシャルにデータを書き込むことが可能。書き込みのたびにディスクにアクセスする通常のUFSのようなファイルシステムに対し、ヘッドシークを最小限に抑えられる。当然、WAFLのようなレイヤを挟み込むことでオーバーヘッドも発生するが、ディスクアクセスを減らすことによる性能面でのメリットが得られるほか、消費電力も大幅に削減できるという。

 WAFLでは書き込みデータを溜めるためにNVRAMという不揮発メモリが採用されており、10秒ごとあるいはNVRAMがフルになった時点でディスクへの書き込みを行なう。NVRAMは合計容量を2分割し、それぞれを交互に動作させているため、連続的な動作が可能。また、バッテリを搭載しているため、不意の停電でもデータが保護されるという。

 このようにWAFLでは書き込みを最適化し、ハードディスクのアクセスを最小限にするというのがコンセプトだが、最近はフラッシュメモリの導入により、状況も変化してきた。ネットアップが最近導入したFlash Cacheの技術は、大容量フラッシュメモリを読み出し専用キャッシュとして用いるもの。「冒頭に話した3つのコンセプトの通り、当初から読み出しに関してはメモリに移行すべきと考えていた。読み出しにフラッシュを使うことで、書き込みにCPUを振り分けることもできる」(河西氏)ということで、他社の後塵を拝しても、コンセプトの合致を優先したという。ディスク本数も半分、消費電力やスペース面も大幅に削減できるほか、仮想デスクトップにおいて絶大な効果を発揮するという。

NetApp Flash Cache技術

(次ページ、副産物大きすぎ!WAFLのメタデータ)


 

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