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富士見iPhoneクラブ 第45回

オリジンは“上毛カルタ”――「ぐんまのやぼう」RucKyGAMESインタビュー

天才的ゲーム開発者は、プログラムが書けないプログラマー

2012年08月03日 12時00分更新

文● iPhoneクラブ製作委員会

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ゲームが何で動いているかよくわからない

じまP ご両親はゲームに理解があったんですか? さっきはファミコンを隠されたというエピソードが出ましたけど。

突然血圧を測りはじめたRucKyさん

RucKy 途中からあきらめてましたね。「こいつはゲームの仕事をしたいみたいだし、しょうがないな」みたいな。僕は「ゲーム業界を目指している」という設定だったので。

カリー 「設定」……。でも、ゲーム業界に入るなら、大きなゲーム会社に入って大作を作るという道もあったわけですよね。そこは目指されていなかったんでしょうか?

RucKy まず、ゲーム業界に入りたいっていうのは子供の頃から思っていて。だから専門学校に入ってプログラムをやってたんですけど、難しくて挫折したんですよ。3Dとか、教科書を読んでも仕組みがわからなくて。それで専門学校にまともに行かなくなって、プログラムをやらずに『実況パワフルプロ野球』とかを家でずっとやってたんです。

つづけて狩人さんも測りはじめた。そういうゲームなのだろうか

じまP 選手のエディットとか、やりこめますからね。

RucKy で、そろそろ就活をしなきゃいけないということになって、やっぱり大手をめざすじゃないですか。でも、書類選考ぐらいであっさり落ちるんですよね。「やばいなー」と思ってたら、ちょうどその時ぐらいにニンテンドーDSが出たんです。それで、「DSのソフト作ります」っていう会社があって。それがビーワークスさんだったんですけど、受けたらたまたま受かっちゃった。それ以外の道はなかったんですよ。そこに落ちたら多分あきらめてた。

狩人 ゲームが好きなのに、割とあっさりあきらめようとしてたんだ。

RucKy その時は本屋のバイトをやってたんですよ。だから、「就活がダメだったらあきらめてバイトで生きていこうかな」と思ってたんですけど、ちょうどビーワークスを受ける前ぐらいにクビになったんです。そんな感じで、本当に絶望的な状態になってしまった。なので、ビーワークスに入れてラッキーだったし、「やべえ、やるしかない!」と。でも入ったら、やっぱり「プログラムわかんねえな」って。わからないままDSのソフトを作って、「何で動いてるんだろう」みたいな。

RucKyさんが初めに就職したビーワークスは、かの有名なiPhoneアプリ「おさわり探偵 なめこ栽培キット」の開発元

じまP いや、それはちょっとまずいんじゃないですか……。

RucKy 『おさわり探偵 小沢里奈』の初期にも自分はちょっとだけ関わってるんですけど、「どうして動くんだろう、不思議だな」と思ってて。当時は麻布十番で働いてたんですけど、六本木の西友に行ったらすごい長いリーゼントの人がいたので、それからインスパイアされて『リーゼント vs トロンボーン』を作ったんです。

Touch Detective App
価格無料 作者BeeworksGames
バージョン1.1.3 ファイル容量192.0 MB
カテゴリーゲーム ユーザーの評価(4.5)
対応デバイス全機種 対応OSiOS 4.0以降
Regent Style vs Trombone App
価格無料 作者RucKyGAMES
バージョン1.9.1 ファイル容量1.5 MB
カテゴリーゲーム ユーザーの評価(3.0)
対応デバイス全機種 対応OSiOS 4.0以降

「リーゼント vs トロンボーン」。水滴めがけて伸びてくるトロンボーンをリーゼントを伸ばして撃退するゲーム。多くのゲーム誌が紹介に苦労したであろうことは想像に難くない

カリー 実話を本当にゲームにしちゃうという。RucKyさんのゲームセンスって非常に独特だと思うんですが、どこで身についたものなんでしょうか。お話を聞いていると、割とスタンダードなゲームばかり遊んでいますよね。

RucKy 遊んでいたのは確かにスタンダードなゲームなんですけど、それを作るとなると大変なんですよ、難しくて。しょぼい普通のを作っても何にもならないし、「ちょっとひねろうかな」みたいなこともあまり考えてないし。自分の制作能力の範囲内というか、作れる範囲のものしか作らないんですよ。がんばらない。「こういう仕組みは作ったことがない、じゃあ、やらない」みたいな。

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