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T教授の「戦略的衝動買い」 第202回

34年経って再登場した独ブラウンの腕時計を衝動買い

2012年07月26日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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いろんなブラウン製品を持っているが、持ち歩ける腕時計と電卓は自慢のアイテムだ

 筆者は、ブラウンの製品のフリークである。読者の多くが想像するように、日本国内ではブラウンと言えば「電気シェーバー」が有名だが、電卓、コーヒーメーカーからオーディオ機器、時計まで幅広く、人々の生活に密着した機器を企画、デザイン、生産するドイツの著名な工業製品ブランドだ。

 そして、ちょっとでもデザインをかじった人なら、ブラウンと聞けば、“バウハウス”直系の理念を継承した特別な企業だと知っている。しかし、電気シェーバーをはじめ、昨今のブラウンの製品デザインは、国内電機メーカーとほとんど区別がつかない。ブラウンは、残念ながらもう過去のデザインに生きている企業なのだろうか?

 そんなことをぼんやりと考えていた矢先、ブラウンのあまりにも著名なデザイナーであるディーター・ラムスとディートリッヒ・ルブスによってデザインされた34年前の腕時計「DW30」が復刻発売されたとWebで知った。早速最寄りの腕時計ショップに行き速攻でゲットしたのは言うまでもない。

どっかの新進の腕時計メーカーのようなパッケージだ。ブラウンらしくない感じ……

 多くのWebショップの紹介文では、“44年前の腕時計復刻……”と記述されていることが多いが、44年前の1968年にはクォーツ腕時計はまだ地球上には存在しない。DW30がブラウンから発売されたのは、セイコー社の特許が公開され、国内外のクォーツ腕時計が出揃った1978年だ。

 復刻版のDW30は、最近流行の他社の腕時計パッケージを意識しすぎたのか、今風なパッケージ。開くと懐かしい顔のDW30が登場する。DW30は腕時計としての最低限の機能を約4cm×3cmのステンレススチール製のスクエアなパッケージに押し込み、黒い耐水性カーフレザーベルトを取り付けた、極めてシンプルなミニマルデザインの腕時計だ。

カラーリングにも迷いがないブラウン製品は、工業製品としてどこにも負けない

筆者愛用のもう1つのブラウンWatch(左)とDW30(右)

 表面にある操作ボタンはたった2つ。左側のボタンは、暗所で時刻を見るときに時刻表示窓の内部を照らすアナログ的な光を点灯させるLEDライトのオン・オフスイッチだ。右側のボタンは、1回押すごとに、現在の表示画面を、日付→秒→時刻、と繰り返しループする機能ボタンである。

DW30表面右上にある焼付け処理をやったようなBRAUNロゴがヴィンテージ風だ

時刻を表示している間も、文字や時分の分離マークに使用されているピリオドが点滅すらしない、余分なことをしないデザインなのだ

 2つの操作ボタンは、本体の割りに大きく、押した時に沈み込むストロークも、昨今のキーボードより深く感じるくらい素晴らしい設計だ。唯一、あえて操作性を悪くしているボタンは側面にある、めったに使うことのない小さなアジャスト(設定)ボタンだ。

深いストロークを実現し、使う人に“確実にボタンを押した感”を与える秀作のハード


「戦略的衝動買い」とは?

 そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。

 それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。

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