長～く使える極上のPCケース2012【シルバーストン＆アビー編】

2012年07月24日 11時00分更新

文● 加藤勝明

エッジの効いた作り込み

　もう1つAbeeオリジナルといえるのが「VGAクーリングファンユニット」の存在。ビデオカードの真上からファンの風をを当てるのはもう珍しくもないが、この製品では2基のファンを角度を付けて組み合せ、空気をユニット中央に集めることで冷却性能向上を狙ったもの。ユニットの厚みは最厚部で6.6cmもあるが、極端にビデオカード上方にヒートパイプが張り出しているもの以外なら問題なく装着できる。

中央の蜂の巣状の穴が開いているものがVGAクーリングファンユニット。ケース全体が上下2分割されているように見えるが、VGAクーリングファンユニット下に見えるのは単なる補強用のステーであって、内部は上から下まで大きな空間になっている

VGAクーリングファンユニットは、このようにファンに角度が付けられている。静音性を重視したい場合、あるいは冷却力が十分足りるなら、装着しないという選択も可能だ

Radeon HD 7970がミドルレンジのように思えるほど内部の空間は広い。有効スペースは380mmと、2012年版の本特集で紹介するPCケースの中では2番目に大きなスペースが利用可能だ。CPUクーラーのマウントスペースも、全高約180㎜の空間を確保している

　独特な吸気構造を採用したおかげで、ドライブベイの使い方にも特徴が出ている。フロントファンすぐ後ろのシャドウベイは普通にHDDを設置することもできるが、斜めに取り付けることで、HDDそのものをフィン代わりに利用し、フロントファンの風をCPU方面へ直接送り込むことを狙っているのだ。
　HDDを斜めに固定することに関しては違和感を持つかもしれないが、大昔のHDDならともかく、最近のHDDならまったく問題ない。水平設置専用のベイも別途用意されているので、好きな方を選ぶといいだろう。

HDDを斜めに固定した状態。これで上向きの気流を作ってCPUやビデオカードの冷却力を高めようという訳だ。写真を見れば分かる通り、普通に水平設置することも可能なので、斜め設置が気になるなら使わなくても問題ない

さらにボディ側面を向いたドライブベイも用意されている。メンテナンス性は圧倒的にこちらの方が高い（ただし電源ケーブルが短いと苦労する）ので、メインはこちらを使うことになるだろう。2.5インチ用のベイもある点に注目

　AS Enclosure X3の搭載ファンは全部で8基。ケース全体が通気性重視で設計されているため、8基全部回すとさすがに騒々しい。実際に使う場合は、いくつかのファンを止めておく必要があるだろう（それ以前に8つのファンを全部回すには、変換ケーブルやファンコンなどの準備が必要だ）。

天井と背面には12cmファンを配置。天井部分にはエアフィルターがなく、起動していない時は上からホコリが入り放題なのがちょと残念だ

サイドパネルの裏側には非常にキメの細かい吸音材を貼付。これは新幹線にも使われている素材だそうだが、全部のファンを回す時の騒音すべてをカバーすることはできない

アルミの色をそのまま活用したシルバーカラーもラインナップしている

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【機材協力】

特集で使用したPCパーツ

　今回の特集で使用した主なパーツは以下のとおりだ。PCケースの有効スペースを検証するために、最新かつサイズの大きい製品をチョイスしている。

Z77チップセットを搭載した、ASUSTeK製ATXマザーボード「Maximus V Formula」。ゲーマー/オーバークロッカー向けのR.O.G.シリーズに属するハイエンド製品で、2-way SLIと3-way CrossFireXをサポートしている。VRM部は水冷にも対応。想定売価は3万6000円前後で、8月頃発売予定だ;

Radeon HD 7970を搭載した、ASUSTeK製ビデオカード「Radeon HD 7970 DirectCU II TOP」。12フェーズのオリジナル基板と、3スロット厚のオリジナルクーラーを搭載したモデルで、クロックが925MHz/5500MHzから1000MHz/5600MHzまで上げられている。カード長は約275mm