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「図解ビジネス情報源 新エネルギー」の著者に聞く 第2回

一人ひとりが賢明な選択ができるために必要なこと

正しい知識とわかりやすさにこだわり

2012年07月26日 09時00分更新

文● 真鍋裕子、●取材・構成/山口学

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2012年7月27日に発売される「図解ビジネス情報源 業界動向と主要企業がひと目でわかる 新エネルギー」(アスキー・メディアワークス刊)では、海外動向についても紹介している。インタビュー第2回では、大和総研 環境調査部の真鍋裕子研究員に風力発電をはじめ、アジアでの新エネルギーの状況などをうかがった。

風力発電は新エネルギーのメインアクト

 風力エネルギーの最大の強みはやはり規模の大きさと言っていいでしょう。最近は太陽光発電でもメガソーラーという言葉が一般的になっていますが、風力発電は、風車一つで2~3メガワットの電力をつくることができ、大規模なウインドファームであれば、例えば原子力発電所1基分を賄うことも可能です。実際、早くから風力発電の研究と導入が進んだ欧州では、電力の10~20%を風力が担っている国もあり、まさに新エネルギーの中ではメインアクトと言えます。

大和総研 環境調査部真鍋裕子研究員

 ただ、日本の場合、風力発電に最適な立地の確保が課題とされています。風力発電で多くの電力を生むには、強い風が一方向に向かって安定的に吹いている場所に設置することが理想ですが、日本は平野部が少なく山間部の多い地形ですから、吹き上げたり吹き下ろしたりと、風に“クセ”があります。広大な平野にウインドファームを設置できる欧州や米国と比べると、風車ごとの稼働率や経済性といった面で、どうしても見劣りしてしまうという現実があります。また、山間部が多いということはアクセス性にも支障が生じます。建設やメンテナンスにあたってアイデアが必要となってくるでしょう。

日本企業の強みが最大限に発揮できる

 風力発電の普及は、単に発電手段の多様化というだけではありません。技術力を持つ日本企業にとっては、ビジネスチャンスがあります。

 風車メーカーとして世界的シェアを誇るのは、やはり歴史ある欧州系企業です。ただ、風力発電機は、約1万~3万点の部品で構成される機械製品です。本書でも紹介していますが、一つひとつの部品で見ていくと日本企業のオンリーワンの技術が活かされているケースもあります。実際、日本の風力発電関連産業を見渡すと、一定の市場規模を持っていることがわかります。風力発電の需要は世界的にも増えており、市場も拡大していますので、日本企業が活躍できる場は十分にあるのです。

 また、先ほどの地形に関連するところでいうと、世界的にも適地が減少してきています。今後は、洋上や山間部など困難な場所への設置が増えるでしょう。軽量でコンパクト、塩害に強い、耐久性が高いなど部品ごとに高度な技術が求められます。その点では、決して地形には恵まれてこなかった日本に一日の長があります。日本のメーカーが培ってきた技術力を発揮する場はますます広がると考えています。

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