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「ビジネスに機動力を」を掲げた「Citrix iForum2012」基調講演

シトリックスのCEOはロストバゲージにも動じない

2012年07月19日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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7月17~18日の2日間、シトリックスシステムズは東京都内でプライベートイベント“Citrix iForum2012”を開催した。中核となるメッセージとして「ビジネスに機動力を」と掲げ、同社のクラウドやモバイルワークスタイルへの取り組みが紹介された。

自らがモバイルワークスタイルを実践

 17日の午前に行なわれた基調講演では、米本社のCEOのマーク・テンプルトン氏が講演を行なった。冒頭で同氏が明かしたのは来日時のフライトのトラブルだ。同氏は前日の夜遅く日本に到着したそうだが、本来予定していた便がフライトキャンセルになり、急遽別便に振り替えた結果、到着時刻が遅れた上に、機内預けの荷物が出てこない、いわゆる「ロストバゲージ」というトラブルに見舞われたそうだ。着替えがないため、移動中のラフな服装のままだということを「ジョブス・スタイル」とジョークにする余裕を見せたが、実のところ同氏は海外でもスーツスタイルは滅多に見せないため、言われなければ特段違和感も感じなかったところだろう。

基調講演を行なう米シトリックスシステムズのCEO、マーク・テンプルトン氏

 講演の内容は、基本的には5月に米サンフランシスコで行なわれた同社の年次イベント“Citrix Synergy”の講演内容と同じで、日本市場向けにわざわざCEO本人が出向いて説明した、という形だ。ごく大まかに言えば、同社が一貫して取り組んできた「いつでもどこでも仕事が出来る」という考え方が、現在のクラウド環境の普及やモバイルデバイスの進化によって以前にも増して有益なものとなってきているという現状を踏まえた上で、この分野を率先して切り拓いてきた同社の製品ラインナップの成熟度の高さを豊富なデモを通じてアピールした、という内容だ。Synergyの講演との違いとしては、製品デモの紹介に割かれた時間が明らかに多かった点だろう。

 基調講演後に行なわれたプレス向けのラウンドテーブルで同氏は改めてロストバゲージというトラブルにどう対処したかを語った。荷物にデータが入ったPCを入れていなかったのか、それらの到着が遅れたことで支障は生じなかったのか、ということだ。

 当然ながら同氏は同社の製品/技術をフルに活用している。業務を遂行するためのデスクトップ環境も必要なデータもすべてリモートアクセスが可能になっており、日常持ち歩くPC等のローカルストレージには依存していない。さらに同氏は「日本に来る楽しみの1つは秋葉原でさまざまなガジェットを見ることだ」というほどで、機内持ち込みの荷物からはMacBook Air、iPhone、iPadなどが次々と出てきたほどだ。同社のソリューションでは「どんなデバイスでも仕事ができる」ことを謳っており、実際にiPhoneやiPadにもWindowsデスクトップを転送できるので、これらのデバイスがあれば十分仕事はこなせるというわけだ。ちなみに、同氏のMacBook AirはBoot Campを使ってWindowsが起動できるようにしてあり、「MacBook AirはWindowsマシンとして最高だ」とのことだ。

基調講演後のプレスラウンドテーブルで語るマーク・テンプルトン氏。

 かなりのガジェットマニアであることを明らかにした同氏だが、CEO自らが自社製品をフルに活用しているからこそ、同社の戦略はぶれることなく一貫しているのだろうと感じられた。リモートで仕事が出来る環境を活かし、つねに世界中を飛び回り、各国のユーザーやパートナーと会って直接メッセージを伝える機会を作っている同氏は、以前「IT業界のCEOの中でも、年間の移動距離はトップレベルだろう」と語っていたが、こうした活動を支えているのが同社のモバイルワークスタイル関連の製品/技術だということがロストバゲージというトラブルによって図らずも印象的に伝えられた形になった。

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