コンテンツの充実こそがSEO対策
現在、自社サイトにかける広告費はリスティング広告などで、売り上げに対して3〜4%程度。かなり少ない。それは、先にも述べた通り、自社で扱う商材が、衝動的に買うタイプのものではないからだ。
では、どのようにお店を広めているのだろうか。
「検索エンジンのキーワード対策がメインですね。今、Googleで『北欧』や『北欧雑貨』というキーワードを入力すると、2番目ぐらいには表示されるんです。でも、これは、特別に何かしたというわけではありません。コンテンツの量が豊富なのが、非常に有利に働いていると思います」
「北欧、暮らしの道具店」の総ページ数は、現在、1万ページ以上に及ぶ。オープン当初、ヴィンテージ商品を多数扱っていたため、1点モノのコンテンツが大量に蓄積された。それが、今、SEO対策に有効に働いているのだ。
「北欧や、北欧雑貨そのものの認知度を高める必要もあると思っています。ただ、それについては、現在、全国に7店舗展開するIKEAが裾野を広げてくれています。IKEAの宣伝力は、僕らが何か仕掛けたところで足元にも及びませんからね。ありがたい存在です」
IKEAといえば、北欧どころか、世界No.1の家具メーカーだ。同じ北欧グッズを扱う立場として、脅威に感じることはないのだろうか。
「まったくないですね。ユニクロで手頃な洋服を好んで買っている人が、他の洋服屋で買わないかと言ったら、そんなはずはないですよね。それと同じです。IKEAでメインのインテリアは揃えるけれど、ここぞというときのお気に入りの雑貨は、ちょっと奮発してうちで買う。そんなふうに使い分けしてくださるお客様が多いと思います」
目下の課題は、ギフト需要を30%まで伸ばすこと。もとは15%だったが、現在までに25%弱まで引き上げることに成功している。
「ギフトは、あげる人にとって義務の側面もあると思います。あげたいという気持ちと背中合わせに、あげなければならないという側面もある。雑貨というのもは先にもお話したように、これが欲しいとめがけて購入するものではありません。しかし、ある種の“義務”としてのギフトの需要が高まると、安定的な売り上げが見込めるため、弊社の経営リスクを下げることに直結します。それにギフトって、私たちのお店の存在を知っているお客様が、知らないお客様に、ラッピングした状態の実物を送るという形でダイレクトに宣伝してくれるわけですよね。つまり、新規顧客獲得に結びつく可能性を秘めていると思います」
今後も、北欧や、北欧雑貨に関するたくさんの特集を企画し、コツコツとコンテンツを充実させていきたいと話す青木さん。「サイトのメディア化」を掲げ、『北欧暮らしの道具店』は、お店のファンを増やし続けていくことだろう。(完)