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“サイトのメディア化”で、息の長いショップを目指す (1/3)

2012年07月31日 11時30分更新

文●三浦たまみ

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 北欧雑貨のネットショップ『北欧、暮らしの道具店』は、実にたくさんのコンテンツがある。例えば、特集ページを見てほしい。

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“サイトのメディア化”を一番反映している「特集」コーナー

 そこには、『夏を心地よく過ごすためのファブリック』『育児中のママにお勧めしたい北欧の道具』といった連載や、店長の自宅インテリアを紹介する企画など、北欧雑貨のあるライフスタイルについてさまざまなコンテンツがずらりと並んでいる。前回お伝えした、スタッフの私物を紹介する『スタッフの愛用品』や、『クラシコムの社員食堂』なども、人気のあるコンテンツだ。

 ここまでコンテンツの充実に力を注ぐのは理由がある。“サイトのメディア化”という考えが根底にあるからだ。同店の経営者兼プロデューサーの青木耕平氏はこう話す。

「ネットショップの本質は、メディアだと思っています。ここでいうメディアとは、買い物云々の前に、記事があって、写真があって読み物として成立していることを指します。大量に仕入れて安く売りさばけるタイプの商材でない限り、メディアを意識したサイト作りは強く求められます」

 その考えを突き詰めたら、サイトに掲載する記事の中身と、書店で販売されている雑誌の中身に違いはないという結論に至ったということだ。

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特集『夏を心地よく過ごすためのファブリック』のひとう。布製品を洗うとどうなるという視点は、お店というよりも雑誌的な視点だ

「雑誌は、編集長の確固たる編集方針があり、ターゲット層にふさわしい特集を考え、毎号、記事にしますよね。メディアを意識するとは、そういうこと。ネットショップでも、うちの場合なら、コアなターゲットである35~45歳の女性に向けて、北欧雑貨や北欧のライフスタイルを伝える特集をみんなで考えて記事にしていく。その記事を読みたいために訪れる読者を増やすべきだと思ったんです」

 特に、同店で扱う北欧雑貨の場合、平均客単価は1万円前後。ふらりとやってきて、「つい、買ってしまった」という商品ではない。しかも、頻繁にリピートするタイプの商材でもない。だから、なおのこと、まずは北欧関連の特集を「読むために、たびたび訪れる」しくみを作り、お客様との永続的な関係を結ぶ必要があると考えたのだ。

「普段は記事を読むために訪れるけど、あるとき、本当にお気に入りの一品を発見して購入に至る。その後、また一読者に戻るけど、しばらくして、今度はギフト用の商品を購入する。こんな感じで、長きに渡りお客様との関係を築きたいなと。目先の利益に一喜一憂せずライフタイムバリューを高めることが重要で、そのための手段がメディア化でした」

北欧、暮らしの道具店

http://hokuohkurashi.com/

  • 運営会社:株式会社クラシコム
  • 従業員数:7名
  • オープン:2007年
  • 年商  :2億2000万円

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