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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第99回

日本のネットシーンに天才現る――M.Kitasonoの衝撃

2012年07月07日 12時00分更新

文● 四本淑三

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 ついに日本のネットシーンに天才現る。あなたはM. Kitasonoと名乗るミュージシャンの曲を聴いたことはあるだろうか? まだなら今すぐこの曲を聴いていただきたい。

ざくろ(宅録ポップス) by M.Kitasono

 作者は1990年生まれの22歳。打ち込みのドラムを除き、ボーカルも含めすべてのパートを自分で演奏し、多重録音で仕上げている。USにはPomplamoose、Jack Conteがいる。じゃあ日本には誰が? と問われれば、今なら即座にM. Kitasonoと答えるだろう。

いきなりSoundCloudに大量の曲を投げはじめたM.Kitasonoさん。そのクオリティーは信じられないほど高い

 日本のネット音楽シーンも、すでに商業音楽と同じように、いかに多くの人に聴かせるかというアプローチが常識になっている。テレビに迫るマスな聴き手がそこに存在する以上、それはごく当たり前のことだ。

 そこに突如、飄々とした態度で、ものすごい異物が丸腰でやってきた。それが私のM. Kitasonoさんに対する印象だ。作曲のセンス、巧妙なアレンジ、そして高い演奏技術と、どれをとっても今までの日本のネットシーンにはなかった才能である。

 しかし彼は一体何者なのか? ネットに曲が上がったのは4月から。私も存在に気付いてから2週間しか経たない。それで急遽、取材の申し込みをさせていただいた。

※本文中にM.Kitasonoさんのトラックがちりばめてあります。記事のBGMとしてお楽しみください。(編)


友人からの助言に従って音源をアップ

Rain Waltz (Jazzy Pop) by M.Kitasono

―― とにかく、あの人は一体何者なんだろうということになっています。まず90年生まれというのは本当ですか?

M.Kitasono はい。本当です。うちの父親に誓って。

M.Kitasonoさん(写真は20歳のときのもの)。手にしているのは『ブコウスキー・ノート』(文遊社)

―― これ以前にネットへ音源を上げたことは?

M.Kitasono 前にMySpaceをやっていたような記憶がありますが、そういうものは全て消してしまいました。

―― じゃあ、いまネット上に存在している音源は、SoundCloudとニコニコ動画だけですね。この2つを選んだ理由は?

M.Kitasono 特にありません。そういうものがあるからって。

―― 何かこのタイミングで期するものがあったのでしょうか。

M.Kitasono 友人からの助言がありまして。とても理にかなったことを言って僕を驚かせるような奴なんですが、その彼が「作って出さねば誰も聴かないだろう」と。ただそれだけなんですけど、今年の正月にそれが僕の胸を打ちまして、それに従ったまでです。

―― それは素晴らしい助言です。ネットに上がっている他人の音楽を聴いたことは?

M.Kitasono 特になかったです。

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