Smart Insightによる補正は、設定画面から5段階の強弱を切り替えられる。さらに映像のモードを「Game」モードに設定すると、さらに強力な補正をかける6段階目(FPS High)に設定できるようになる。Smart Insightの強弱の切り替えは、リモコンの「Smart」ボタンから簡単に切り替えられるようになっている。このリモコンの改良については後述する。
Gameモードの補正については、ナナオがスポンサードするプロeSportsチーム「Fnatic」の協力によって、パラメーターを調整しているという。あくまで個人としての感想だが、ゲームでSmart Insightを使う際には、中途半端なレベルに設定するよりも4~5くらいの強めに設定した方が、視認性を高めるという目的に適していると思える。
普通の写真がHDR撮影のように美しく
Smart Insightが威力を発揮するのは、ゲームだけではない。例えば写真の表示に利用する場合、下のサンプルのように暗部に隠れたディテールを補正により再現して表示できる。
露出を切り替えて連続撮影した写真を合成して1枚の写真とする「HDR撮影」のような効果を、普通に撮った写真でもディスプレーで表現できるわけだ。デジカメ撮影の写真を楽しむのにも効果的であろう。映画でも同様に、Smart Insightで暗部のディテールを表現すると、影に隠れているような部分まで見えるようになる。画面が暗いホラー映画などで効果的だが、場合によっては怖さが減ってしまうかも?
常時使える超解像「Smart Resolution」も健在
FS2332から継承された機能に、「Smart Resolution」と「Smart Detection」(動画領域補正)がある。Smart Resolutionは「常用できる超解像」を謳い文句にした機能で、映像を解析してぼやけた部分だけを先鋭化する一方で、ノイズのような要素は処理しないという補正を行なう。
映像から人肌部分を検出して、肌には補正をかけない「肌補正」、文字部分には補正をかけない(かけると文字がぼやけて見えるため)「文字補正」といった機能もある。これらを組み合わせると、例えばウェブブラウザーで表示した文字はそのままに、写真部分のぼんやりした部分だけを鮮明に表現することが可能になる。一般的な超解像技術対応ディスプレーが、文字も写真も区別せずに処理してしまうのに比べると、大きな違いがある。
Smart Detectionは、有効にすると映像の中から動画の部分だけを識別して、そこにだけSmart InsightやSmart Resolutionを適用する機能だ。ネット動画をよく見る場合に効果的である。
さまざまな補正機能を備えるFS2333だが、ディスプレーやテレビに詳しい人なら、「補正をかけた状態では表示遅延が大きくなるのではないか?」との疑問を持つかもしれない。FS2333の素晴らしいところは、高速な映像処理プロセッサーを使用することにより、これらの補正を画面全体にかけた状態であっても、表示遅延を0.05フレーム未満に抑えている点にある(条件によってはこれより大きくなる場合もある)。この程度の遅延にしかならないのであれば、遅延に対してシビアなゲームであっても、問題なく常用できる。エンターテインメント重視のディスプレーという方向性と、多彩な補正機能を両立するには、この低遅延は非常に重要だ。
ディスプレーパネルは視野角の広いIPS方式の液晶パネルで、バックライトは白色LEDによるエッジライトとなっている。パネル自体はFS2332で採用したものと同等とのことだが、オーバードライブ回路の搭載により、応答速度は3.4ミリ秒にまで短縮できるという。
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