開発者の“注目”は集めているWindows Phone
それをいかに実際の開発につなげられるか
デバイスの出荷台数とアプリの数は比例するが、Windows Phoneへの開発者の関心が高まっているという数値がいくつかあり、その将来に期待の声もある。たとえばFlurry Analyticsでは、自社が追跡している新規アプリ開発プロジェクトで、AppleとiOS以外のプラットフォームとしてWindows Phoneの増加を報告している。
2011年6月にはBlackBerry(Research In Motion)、Windows Phoneともに1%だったのに対し、Windows Phoneは2011年秋から2%、2012年1月に3%と安定して上昇、6月には6%とRIMと明らかな差を付けた。2012年第2四半期、新規のアプリプロジェクトの67%がiOS、Androidが28%と2強で95%を占める中の伸びである。上位2社に影響を与えるレベルではないにせよ、「第3のエコシステム」としての可能性を感じさせる。
もう1つ紹介したいのが、VisionMobileのモバイル開発レポートだ。iOSとAndroidの2強体制がさらに強まりつつあると同時に、調査した1500人以上の開発者のうち57%がWindows Phone向けに開発する計画があると報告している。この調査は現在利用しているプラットフォームに関係なく、今後新たに利用するプラットフォームを聞いたもので、Windows Phoneの57%は最多、次いでiOSの28%、Chromeの25%、Androidの25%、モバイルWebの23%となっている。
一方で、VisionMobileは昨年の調査でもWindows Phoneへの関心が高かったこと、だが今年のWindows Phoneの利用は増えていないことも報告しており、プラットフォームへの期待が実際の開発につながることが保証されているわけではない。なお、開発を止める予定のプラットフォームとしては52%が「Symbian」を挙げており、NokiaはいかにしてSymbian開発者をWindows Phoneに向かわせるかが自社事業の成功に重要となりそうだ。
この秋には、iOS 6、Windows Phone 8、BlackBerry 10と、各社の新プラットフォームが揃うことになる。Googleも6月27日(現地時間)からのGoogle I/Oで新しい発表が行っているはずだ。
Microsoftはこのイベントの直前に、「Surface」というWindows 8ベースのタブレットを発表。自らがハードウェアを手がけるという大きな戦略変換を見せている。スマートフォンでは「KIN」という失敗事例があるが、Surfaceの動向次第ではスマートフォンでも大きな戦略方向の可能性があるのだろうか?
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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