グラフィック強化でDiablo IIIもサクサク
ストレージへのアクセス速度も向上
Ivy Bridge化による恩恵には、もちろん「パワー」もある。Ivy Bridgeの場合、GPUコアがIntel HD Graphics 4000に変更され、パワフルになったことが重要だろう。手元にあったゲームでとりあえず「Diablo III」をプレイしてみたが、意外なほど普通に遊べた。2010年モデルでは正直不快なほど遅く「ゲームにならないな」と思うほどだったが、2012年モデルなら設定を一切いじることなく快適にプレイできるのはもちろん、解像度をドットバイドットになるよう最適化しても問題ない。
モノの性質として、このあたりの能力が重要だとは思わないが、逆に言えば、いろいろな用途にきちんと対応できるだけのクオリティーを備えている、ということだろう。
パフォーマンスの点でむしろ大きな変化を感じたのは、フラッシュストレージの能力向上だ。下の画像は、ベンチマークソフト「BlackMagic Disk Speedtest」で、2010年モデルと2012年モデルを比較した結果である。リード、ライトともに大幅に向上しているのがわかるだろう。
実のところ、リードは数値ほど大きくなっているとは体感できないのだが(元々速かったという部分は大きいだろう)、ライトの方は倍近くになっていて、大きなデータを扱う時に効果がある印象だ。今回のテスト時にも、映像ファイルのコピーやファイルの保存時にスピードの差が体感できた。
さて、結論である。MacBook Airは2012年モデルになって、バランスの良さを取り戻したと感じる。フラッシュストレージによる快速な動作、薄型で所有欲をそそるデザインは変わらないが、発熱の抑制とバッテリー駆動時間の若干の延長により、より「使える」製品になった印象だ。軽さよりバッテリー駆動時間にこだわるなら、13インチモデルを選べばいい。同じような改善がなされていると期待できる。ある意味このモデルで、「今のMacBook Airは完成した」ともいえるだろう。
次のジャンプがいつになるかはわからない。だが次は多分、ディスプレーに手を入れてくることになるのではないだろうか。MacBook Airの価格帯を維持したまま実現するのは、短期的にはなかなかつらいかもしれないが。
- お勧めする人
- ・いつでもマックを持ち歩きたい人
- ・完成度の高い薄型ノートPCを探している人
MacBook Air 11インチモデル(128GB)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5(2コア、1.70GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 11.6型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | SSD 128GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0 |
インターフェース | USB 3.0×2、Thunderboltポートなど |
サイズ | 幅300×奥行き192×高さ0.3~17mm |
質量 | 約1.08kg |
バッテリー駆動時間 | 約5時間 |
OS | OS X Lion |
価格 | 9万4800円 |
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スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場 (アスキー新書)西田宗千佳(著)アスキー・メディアワークス
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)、「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。最新刊は「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)。
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