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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第94回

これが現在の完成形 MacBook Air 2012年モデルをテスト

2012年06月28日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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先端が薄いくさび形のボディー、金属の質感をいかし、フラットで余計なもののない天板と底板。MacBook Airのデザインは2010年モデルからほとんど変わっていない

 今回試用したのは、CPUにCore i5(1.7GHz)、フラッシュストレージ(いわゆるSSD)を128GB搭載したモデル。すでに述べたように、重さやサイズ、デザインは、2011年モデルと比べてほぼ変更がない。11インチモデルとしては第2世代にあたる2011年モデルから、バックライトキーボードとThunderboltインターフェースが採用されているが、この点もまったく同じである。今回は内部アーキテクチャーがIvy Bridge世代になり、動作速度などの点で変化が生まれているのが主な違い、ということになる。

本体右側面。USB 3.0とThunderboltポートが並ぶのは従来どおり

2011年モデルで採用されたバックライトキーボードも健在

 Ivy Bridge世代になって生まれた変化は、USBインターフェースが「3.0」ベースになったという点だ。デザイン面ではまったく同じで、Windows PCのように「青色」のコネクターにはなっていない。アップルとしては、美しいデザインの中に青いコネクターは似合わない、という発想なのだろう。「対応機器を挿せば速くなる」というイメージでいるならば、これでもいいのだろう。

 なお以前からそうであるように、MacBook Airには有線のEthernet端子がない。必要ならば、これまではUSB Ethernetアダプターを接続していたが、今回の新モデルに合わせて、Thunderbolt経由で接続するEthernetアダプターが登場した。そのため、Thunderboltポートを経由して接続することもできる。アダプターの実機テストはしていないためパフォーマンスのほどはわからないが、USBでは転送速度が気になるなら、Thunderbolt用を選ぶべきだ。まあ、MacBook Airでそういうニーズはそうそうないと思うが……。

キーボードやタッチパッドのレイアウトも変更なし

Ivy Bridgeの効果絶大!
発熱は大幅にダウン

 2011年モデルは、CPUがCore 2 DuoからCore iシリーズになり、処理速度の面では大きく進化した製品になっていた(関連記事)。だが、他方で失ったのが「快適さ」だった。具体的には発熱が非常に大きくなっていて、ちょっとしたことで不快に感じるレベルに達するのが難点だった。

 2011年モデルはSandyBridgeプラットフォームだったわけだが、どうやらあのレベルでは、快適なものには仕上がらなかったようだ。しかしIvy Bridgeでは、プロセスのシュリンクにともない、省電力化・低発熱化が実現されているとのことなので、2012年モデルは快適になるのでは……と期待していた。

 テストしてみると、それは見事に裏付けられた(グラフ参照)。2010年モデルと2011年モデルの数値は昨年テストした際のものだが、今回もエアコンを使って気温状態をおおむね揃え、ボディーからの発熱をチェックしてみた。

各部の温度比較 放射温度計による測定、室温は25度。左がアイドル時の比較で、右がフルパワー時。フルパワー時はH.264動画エンコード状態

 顕著だったのは、パームレスト部など「人が触れる場所」の発熱の低下だ。2010年モデルに近い結果になってはいるが、プロセッサーパワーはぐっと増している。高負荷時(赤いグラフ)で比較すると、発熱源の近くはそれなりに熱くなっており、2010年モデルとは違う傾向が見られる。それでもパームレストや本体裏手前などは、それほど発熱していない。アルミボディーは美しいものの、どうも発熱が大きいところが気になっていたのだが、Ivy Bridge世代のモデルでは、だいぶ緩和されていそうだ。

 発熱・消費電力の改善ということになると、気になってくるのがバッテリー駆動時間である。今回はYouTubeで480pのビデオクリップを再生しつつ、Twitterクライアント「Echofon」にてストリーム受信をしながら、各種スリープ機能をオフにして、駆動時間をチェックしてみた。CPU負荷としては10%から15%、ネットワーク側にはほぼ常に負荷がかかり続けているというレベルである。

 結果は4時間40分ほど動作した。似たテストを行なった2010、2011年モデルに比べると、いくらか伸びているといったところだろうか。バッテリー駆動時間の伸びに大きな期待を抱いて買うほどではないが、落胆することはない程度の改善というのが実状だろうか。

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