映画の雰囲気豊かな表現も明るい映像のゲームも大満足
総合的な実力が高いソニー「VPL-HW30ES」
ソニーの「VPL-HW30ES」(実売価格30万円前後)は、反射型液晶パネル「SXRD」を採用している。反射型液晶は、光源となるランプを後ろではなく前方に置き、表示映像も前方に反射する。
これは、透過型液晶の場合、液晶の画素を駆動する回路や配線が影となるため画素と画素の間にすき間ができ、画素がマス目状に見えてしまうことがあるが、反射型液晶では回路や配線を光が反射する部分より後ろに置けるため、画素と画素のすき間が狭く、ミッチリと詰まった映像の再現ができる。光の利用効率が高いため高輝度や高コントラストなどでも有利だ。
レンズシフトの範囲が広めで設置の自由度は高そうだ。ただし、レンズシフトにはあまり頼りすぎないようにすることも重要。レンズシフトは投影レンズの周辺を使用することになるので、色収差や解像感の低下などの影響が出ることがあるからだ。
試しに上下左右とも最大に移動してみたが、レンズシフトをセンターとしたときに比べてやや色がにじんだような色収差がある。上下左右とも最大値までは使わない方がいいだろう。
本機も200Wの高圧水銀ランプ採用で、最大1300ルーメンの明るさを実現しているが、十分な明るさが確保できており、不満はなかった。画質傾向は、テレビ的なメリハリのくっきりした映像と言えるが、画質モードが3つのシネマモードをはじめとして9つもあり、シネマモードでは映画らしいしっとりとした表現ができるなど、ソースによる対応力の幅広さを感じた。
ソニーの業務用デジタルシネマプロジェクターに近い表現となる「シネマ2」で、映画を見てみたが、最新の映画との相性はばっちりで、解像感に優れ色合いも鮮やかな映像となっていた。
明暗の表現の幅が広く、鮮明で見応えのある映像になる。基本的な実力の高さはかなりのもので、ガンマ値も9種類選択できるなど、画質調整が充実しているため、じっくりと好みの画質に追い込んで使いたいと思ったほどだ。
3Dゲームでは、遅延を抑えた「ゲーム」を選んだ。視点を素早く動かしたときのぼやけ感が少なめで、プレイがしやすいと感じた。映像的には忠実度の高い再現で、ポリゴンのジャギー感などもやや目立ち気味となるカチっとした再現だ。視認性の良さなども重視しているのだろう。
いわゆる薄型テレビ的なくっきり再現から映画的な自然で雰囲気豊かな再現まで、それぞれの画質モードがよく出来ていることには感心させられた。どんなソースをほどよく美しい映像が楽しめることもあり、総合的な実力はNo.1のモデルだ。
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