世界中の注目を集めているMicrosoftの新タブレット「Surface」。この発表に中華なTwitterこと「微博」では「iPadキラーとしてどこまで対抗するのか」という中国ユーザーの意見が多く出た。
一方で、Surfaceの発表に「山寨iPadだ」と評する人もいた。山寨(シャンジャイ)とは“何処の馬の骨とも分からぬメーカーの出した模倣品”のこと。マイクロソフト中国のトップである張亜勤氏の微博では、Surfaceのニュースリリースを紹介するとともに、ある微博利用者の「Sueface(原文ママ)は中国で出るか?」という質問に「Sueface(原文ママ)は出ません」と回答している。
“Sueface”が読者の意図したものか、それとも間違いなのかは不明だが、張氏は「Suefaceなんて変なモノは出しませんよ」という冗談交じりのメッセージを返したのだろう。
注目の新ガジェット発表で、中国絡みの記事とくれば、どこかで変なニセモノ(山寨機)の登場を期待していないだろうか。
実際には、中国の一般人どころかガジェット好きでも山寨機に興味を示す人は少ないのだが、どうも日本人のガジェット好きは中国の山寨機の話が好きなように思う(「貧しいからニセiPhoneをもって満足するのではないか?」という説をきくが、中国人は好きこのんでニセモノは買おうとはしない)。
過去数年、世界的に注目されたハードは、iPhoneしかりiPadしかり、WiiしかりPSPしかり、ニセモノが登場してきた。SurfaceとてMicrosoftというネームバリューや、製品自体の注目度でいっても出てきそうな感じがする。
過去のニセモノと今の最高スペックのニセモノを振り返り、ニセSurfaceの可能性を考えてみたい。
ニセiPhoneは進化して浸透
「山寨機」ことガジェット系のニセモノは、以前の記事でも紹介したが、香港に隣接する広東省深センという都市の「華強北」という地域に集中している。
IT系の話題で華強北といえば「山寨機」を指す。アキバのガード下の部品屋のような店が数棟の巨大ビルにびっしり入り、その中には携帯電話・スマートフォンのチップやボタンやガワを売る店もあれば、完成した山寨機を売る店も数フロアに渡ってびっしりある。
近年は中国人だけでなく、中東系・アフリカ系バイヤーの姿も見るようになり、外国人バイヤー向けに言語のローカライズを含めて対応するショップがいくつも登場している。最新チップさえ届けば最新スペックの携帯電話・スマートフォンの最新機種が登場するわけだが、特に台湾のMediaTekが積極的に携帯電話向けチップを投入していることから、MediaTekが動けば華強北に新しい風が吹く状態となっている。
Apple製品のニセモノはiPodからはじまったが、インパクトを与えたのはiPhoneのニセモノからだろう。ニセiPhoneの代表格「ciphone」からはじまり、筆者自身も中国IT系メディアも追い切れないほど無数のニセiPhoneが登場し、iPhone型の学生向け学習機まで登場した。
筆者自身、ciphoneは購入したことがある。ciphoneは、箱パッケージや静止画の広告を見るだけはホンモノっぽかった。しかし、当時多数登場した山寨機にも採用されていた安価なMediaTek社製の携帯電話向けチップを採用していて、動きは非常に緩慢であり、2Gしか対応しておらず使い物にならない代物であった。
ただ、ciphoneの新機種は一発屋で終わることなく(しかし発売元は謎のまま)次々にリリースされた。W-CDMA対応となり、「Qualcomm MSM7227」などMediaTek以外のCPUを採用し高速化をはかり、またOSもAndroid 2.2やWindows Mobile 6.1を搭載した製品が登場した。
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