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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第157回

GPU黒歴史 Megademoチームから生まれそこなったGlaze3D

2012年06月25日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 気がつくともすでに16回も続いていたGPU黒歴史。今回は知る人ぞ知るBitBoys社の「Glaze3D」である。

 BitBoys社は正式には「BitBoys Oy」と呼ぶが、フィンランドの会社である。そしてBitBoys Oyの創業メンバーは、「Future Crew」の一部であった……と書いても「Future Crewって何?」という話になると思うので、まずはそこから説明しよう。

90年代前半のMegademoを席巻した
Future Crewがその原点

 いわゆる「Megademo」というものが流行したのは、1980年代後半の頃からだったと記憶している。当初は「Commodore 64」上で、いろいろなデモプログラムを走らせるというものだった。デモプログラムそのものは純粋に、画面と音を表示するだけのものだが、いかにクールな画面や音を作るかが競い合われていた。

 MegademoがCommodore 64からIBM-PC上にプラットフォームを移し始めたのは、1990年前後ではなかったかと思う。当時は手軽に使えるインターネットなどない時代だったから、いろいろなイベントに開発者がフロッピーディスク(しばしばPCそのもの)を持ち寄って、参加者に披露するというものだった。後にはBBS経由でのプログラムの配布も行なわれるようになったが(FidoNet経由での配布もあった)、当時の通信回線事情では、オンラインでの配布はごく限られた範囲にしか広がらなかった。

 そうしたイベントのひとつに、「Assembly」というものがあった。これは現在もまだ開催されているが、1992年にフィンランドで初めて開催されたイベントだ。当時はまだCommodore 64用のプログラムが主流だったが、ここで「Unreal」というデモを披露したのが、Future Crewというグループである。Future CrewはAssembly 92の主催グループのひとつでもあった。

Future Crewが名を上げたMegademo「Unreal」(YouTubeの動画より)

 Unrealは動画となってYouTubeに上がっているので、それをご覧いただくのが早いが、486DX-33MHzにET-4000、Sound Blasterという構成で、リアルタイムに画面を生成したことは当時としては驚異的だった。

 Future Crewは翌1993年に開催された「Assembly 93」で、「2nd Reality」を発表。こちらも大きなインパクトを与えるもので、一躍Future Crewの名前は当時のPCユーザーの間に轟くこととなった。その後、メンバーがフィンランドの兵役に就く(フィンランドは徴兵制の国)などの理由でしばらく活動が停止するが、1997年の「Assembly 97」では、新作の「Final Reality」を発表した。

 Final Realityという名前には、聞き覚えがある読者も多いだろう。ようするに現在まで続く3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」シリーズの前身である。Final RealityをリリースしたのはRemedy Entertainment社だが、ここはFuture Crewのコアメンバーが設立した会社である。だが同社はFinal Realityを最後にゲーム開発へと舵を切り、Final Realityに続くベンチマークプログラムは、MadOnion.com社が引き継ぐ形となった。ここが名を変えたのが、現在のFuturemark社である。

 もっともこのRemedyとFuturemark、会社そのものはまったく異なるものの、メンバーが同じFuture Crewの出身ということもあってか交流は比較的密である。例えば「3DMark 2001」には、Remedyが開発したアクションゲーム「MAX PAYNE」のエンジンや一部モデルを流用したと思しきシーンがあることからも、両者の交流がうかがえる(シナリオそのものはMatrixのパロディ)。

 Future CrewのメンバーすべてがRemedyやFuturemarkに移ったわけではなく、他の道を選んだメンバーもいる。といっても進路のほとんどはBugbear Entertainment社や、Recoil Gamesといったゲーム開発会社が主である。一方で、3Dグラフィックチップの設計、という方面に進んだメンバーが設立したのがBitBoysだったわけだ。

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