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コンプガチャ規制についての考察 ― 第1回

規制に論拠はあるか

コンプガチャ規制は政策として誤っている

2012年06月16日 09時00分更新

文● 田中辰雄

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 市場規模3000億超・利益率40%超と言われるソーシャルゲーム業界を揺るがしたコンプガチャ騒動について、慶應大学経済学部 田中辰雄准教授にご寄稿いただいた。

 コンプガチャ規制は急成長を続けてきたソーシャルゲームに冷水を浴びせる結果になった。グリーとDeNAの株価総額は2000億円低下したといわれ、急成長していたソーシャルゲームのゆがみが露呈したという見解も少なくない。(参考URL

 この問題について私の見解は一般の見解と異なる点が多いので、ここに記しておきたい。結論から述べれば、私はコンプガチャのような高額課金システムには妥当性があり、コンプガチャ規制は政策として誤っているという意見である。

会見中の消費者庁・片桐一幸課長

(1)コンプガチャの仕組みと事件の経緯

 まず、コンプガチャを知らない人のために簡単に仕組みを述べておく。ソーシャルゲームにおけるカード型のゲームでは、カードを使って戦いをするので、強いカードを集める必要がある。カードを集める方法はくじを引くことで、このくじはゲームによってガチャとか召喚とか呼ばれている。

 このくじには有料と無料があり、有料(たいてい1回300円)のほうがよいカードが引けるようになっている。無料版でも引けるが一日にひける回数に制限があったり、一定以上のレアカードが出ないなどの制限がある。強いカードがほしいユーザは有料版に挑戦し、これがゲーム会社の大きな収益源になっている。

 コンプガチャとは、この有料ガチャで、特定のレアなカードを何枚か(たとえば5枚)そろえるとさらにレア度の高いカードがもらえるという仕組みである。狙いのカードが出るまで引かないといけないので、そろえるためには相当枚数のカードを引く必要がある。

 このコンプガチャはいわば非常にレアなカードをより高額で販売する仕組みと考えることができる。一般論としていえば、出現率が低いカードは引くまでに何度もくじをひかなければならないので、入手までに費用がかかり、結果として高価格となる。コンプガチャはこの高価格の度合いがさらに一段高くなったと思えばよい。

 このコンプガチャが消費者庁によって違反の疑いとされたのは、いわゆる「絵合わせ」にあたるというのが論拠であった。

 絵合わせの典型例は、キャラメルなどのお菓子に景品としてカード(たとえば巨人軍のレギュラー選手のカード)が1個につき一枚入っており、このカードを全種類集めると豪華な景品がもらえるという景品手法で、景品表示法で禁止されている。

 コンプガチャは偶然出現するカードを特定数集めるとさらに良いものが得られるという点で、この絵合わせに似ており、それが違反の論拠になった。以上が簡単にまとめた経緯である

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