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仕事と生き方を変える、著名人の意見 第33回

アナタの家庭の貯蓄は大丈夫?

気になる他人の家計状況

2012年06月04日 10時10分更新

文● 伊藤亮太

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 ※この記事は伊藤亮太氏のメールマガジン「時代を勝ち抜くマネー学 - これからの生活に活かす -」(「ビジスパ」にて配信中)から選んだコンテンツを編集しお届けしています。

 自分の家の資産は多い方?少ない方?誰もが気になるそんな疑問に対し、伊藤亮太氏が、家計の資産・負債状況についての統計データを元に解説する。

 皆さん、他の人の資産の中身がどうなっているか、気になりませんか?

 自分の家の資産は多いのか少ないのか?実は驚くべき結果が公表されています。今日はそんな話題を記してみたいと思います。

 2012年2月に、金融広報中央委員会(事務局/日本銀行情報サービス局内)が「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世帯〕(2011年)」を公表しています。これは、全国8,000世帯(世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯、有効回答数は3,802世帯)を対象に調査したものであり、家計の資産・負債状況がどうなっているのか統計をとったものになります。当然のことながら、年齢層、地域、職業等によってその資産構成のバラツキはあるといえるものの、全国で見た場合の中央値や平均値がどの程度かは知っておきたいところです。

 結論から言いますと、2人以上世帯で見た場合、金融資産の保有額は、平均値が1,150万円、中央値が420万円となっています。平均値と中央値に相当な乖離があるのは、お金持ちが平均値を押し上げているといえるからです(平均値を下回る家庭は約7割)。中央値は調査世帯の真ん中に位置する額を示します。したがって、金融資産の保有額の一般的な家庭を考える際には、中央値である420万円前後が一つの目安と考えることがよいといえます。

1世帯当たり金融資産の保有額の推移 (出所)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世帯〕」

中央値はここ数年間で最低額

 表を見ていただくとわかりますが、昨年の中央値はここ数年間でもっとも低い額となっています。高齢世帯の資産の取り崩しや、昨今の経済状況に伴う給与の減少などが響いているのが一つの要因として考えられます。なお、平均値はさほど変動していないのがわかります。

 そんなにうちは金融資産もってない、というご家庭もあると思います。当然のことながら、住宅ローンの返済に貯まったお金を充てたりしているご家庭では預貯金等少なくなりがちですし、若い世代においても貯蓄は少なめであることは仕方ありません。したがって、あくまで目安として見ていただければと思います。

 ちなみに、そんな方でも「ホッ」とできるデータがあります。全体でみると上記表のようになるのですが、実は世帯によって大きな開きがあり、金融資産をまったく保有していない世帯は調査対象の約3割にあたる1,089世帯。1~100万円未満が139世帯、100~200万円未満が190世帯とかなり多くの家庭においては金融資産が少ないと想定されるのです。当然、年収が低いほど金融資産なしという割合は高いわけですが、年収1,200万円以上の世帯でも12%ほどの世帯は金融資産なし。家庭環境などによっても様々な理由があるでしょうから一概には言えませんが、もし単純にお金がある分だけ使ってしまっているのであれば、どこかでその生活が続かなくなるのでは?と心配されます。

金融資産非保有世帯比率(出所)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世帯〕」

 皆様のご家庭はどうでしょう?このデータ、借入平均なども毎年公表されていますので、是非一度ご覧になりながら、他の人より多く資産を持てるよう意識を強く持っていただければと思います。

【筆者プロフィール】伊藤亮太

 経済評論家、ファイナンシャルプランナー。スキラージャパン株式会社取締役。
 証券会社にて、営業、経営企画部門等を経て、2007年11月にスキラージャパン株式会社設立に参画。ファイナンシャルプランナーとして、個人の生活設計(ニーズに合った適切な金融商品の選定、保険やローンの見直しなど)を中心としたマネー・ライフプランニングの提案・サポート等を行っている。
 『金融入門 基本と常識』(西東社)など著者多数。講師・講演歴も多岐にわたり、金融機関、大学等で、資産運用関連、金融業界動向、ファイナンシャル・プランニングなど講演を行っている。
 ビジスパではメルマガ「時代を勝ち抜くマネー学 - これからの生活に活かす -」を執筆中。

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